2024年11月22日( 金 )

福岡を活性化させた傑物伝 アパマングループ代表大村浩次氏(21)

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出会いサポートセンター・JUNOALLを支援

 今の日本で生まれる子どもの数は、年間100万人を割りこんでいる。人口が少なくなることは日本の国力にかかわり、子どもがへると街に住む人が少なくなり活気が失われてしまうことから、少子化問題を何とか解決できないかと考えてきた。

 企業は、社会の役にたつだけでなく、利益の一部を社会にもどすことが大切だと大村社長は考えている。日本の国の経済力を強くして、地域を元気にしたいという社会貢献の思いから、行政や公的機関、自治体と協力して、出会いサポートセンター・JUNOALL(ジュノール)をボランティアで支援している。現在、全国8都市に展開しており、今後も全国各地に広めていく予定だ。将来的には、全国47都道府県に100カ所以上のセンターをつくり、1万組以上の婚姻を目指している。

人と人のつながりから結婚が生まれていた

大村 浩次 氏

 一昔前までは、社会に自然なお見合いのネットワークがあり、すでに結婚して子どもをもっている女性が、知りあいの年頃の男性や女性の結婚の仲介をしていた。結婚を考える年になるとお見合いの写真が出まわるくらい、相手を紹介する個人のネットワークがさかんだったといわれている。男性も女性もお互いに知りあいのつながりで紹介していたため、似た境遇でつりあい、人柄も合いそうな組みあわせで紹介していた。境遇や人柄が合う人どうしを紹介していたため、お見合いから結婚につながりやすかった。

 しかし、今ではお見合いを紹介しあえるような人と人のつながりが少なくなり、お見合いで出会う機会がほとんどなくなってしまった。また、昔とは人間関係のあり方がかわり、お互いの知りあいを通して紹介をうけると人間関係を気兼ねして断りにくいために避けたいという気持ちから、今ではお見合いをしない人が増えたといわれている。

 また、以前は職場恋愛から結婚につながることも多かったといわれている。同じ会社で働いていると社会のなかでのお互いのふだんの姿がわかり、同じ会社には似た価値観やバックグラウンドをもつ人が集まりやすいため、合う人が見つかりやすかったのではないだろうか。しかし今では、恋愛がうまくいかなかったときに同じ職場にいづらくなるなど、職場の人間関係に気兼ねする人も増えたといわれている。

ITを活用した独自のデータマッチング

 JUNOALLは、一昔前までは地域のネットワークのなかで人が組み合わせていたお見合い相手を、ITを使った独自のノウハウでデータマッチングすることが特長だ。これまでAPAMANグループが部屋探しでつちかってきた、合うものを見つけるマッチングの仕組みを生かしている。JUNOALLは、希望する相手の条件や結婚観からデータベースの画像やプロフィールを自分で検索して、相手の条件からデータマッチングしてお見合いをすることで、結婚につながりやすい出会いをつくるしくみだ。

 また、お見合いは個人情報をあずかるため、外部に個人情報が漏れることを防ぐ仕組みを備えている。全国のJUNOALLでは、インターネットにつながれていない専用のネットワークを使って登録された個人情報を共有しているため、外部からは一切アクセスできず、単独のネットワークで管理しているためインターネットを通して外部からハッキングすることはできない。また、情報の抜き取りを防ぐため、データのやり取りにUSBを使わない、全国のJUNOALLの専用ルームに行かないとデータを検索できないなど、厳重なセキュリティ対策をしている。

 JUNOALLは社会貢献のための事業で、非営利団体のNPOが運営しているため、無料または良心的な費用でサービスを提供している。また、成婚時の成功報酬などの謝金もかからない。近年、20代や30代は賃金が上がりにくくなっているという社会背景もあり、今の時代にあった良心的な費用を設定することで、若い世代のことを考えたサービスを提供している。また、良心的な費用でサービスを受けることで、結婚後の生活に資金をまわしてほしいという思いもあるという。

結婚して子どもをもちやすい社会をつくる

 結婚後のライフスタイルについても、APAMANグループは若い世代の生き方の選択の幅を広げる新しい提案をしている。たとえば、これまで仕事をするためには仕事のあるところに住むことが必要だったが、コワーキングスペースのfabbit(ファビット)は、遠くまで通勤をすることなく住んでいる街で仕事をすることや大都市に移り住むことなく地方都市で仕事ができる環境を整えて、これからの時代にあった多様な働き方をサポートしている。また、女性が仕事をしやすいコワーキングスペースをつくることで、結婚しても仕事を続けることができ、子どもをもちやすいようにサポートしている。大都市にくらべて物価の安い地方都市で仕事をしやすくすることで、今までの時代とは違ったライフスタイルを提案し、こどもをもちやすい社会をつくりたいと考えているのではないだろうか。またシェアサイクルのecobike(エコバイク)は、どこでも自転車を借りられる街をつくり、車をもつことなく通勤や外出しやすくすることで、これからの若い世代にとって暮らしやすい社会をつくることに取りくんでいる。

(つづく)
【取材・文・構成:石井 ゆかり】

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