中国勢の追撃で危機に直面した韓国ディスプレイ産業(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
LGディスプレイは昨年、第一四半期の業績発表で、売上高が5兆6753憶ウォン、 営業利益がマイナス983億ウォンを計上した。売上高は前年同期比で20%減少し、営業利益においては、何と1兆1000憶ウォン以上が減少し、6年ぶりに赤字に転落したわけだ。 一昨年の営業利益は2兆4616憶ウォンを記録していたので、市場に与えるショックは予想以上であった。
サムスンディスプレイもLGディスプレイほどではないが、業績は大きく落ち込んでいる。サムスンディスプレイの昨年の第一四半期の売上高は7兆5,400億ウォンで、前年同期比では3.4%しか減少していないが、営業利益は68%も減少し、4,100億ウォンに過ぎず、大幅に減少している。このような中国の攻勢に対して韓国ではどのように対応しようとしているだろうか。
韓国企業は、液晶ディスプレイ市場では、これ以上中国企業と競合しても勝算がないと思って、有機ELへのシフトを検討している。韓国は現在、世界有機EL市場の96.5%のシェアをもっている。2017年の有機EL世界市場規模は233億ドルだったが、2020年には市場規模が509億ドルに成長することが見込まれている。しかし、中国企業は有機EL分野にも巨額の投資をしていて、将来の状況は楽観できない。
中国はすでに有機ELの特許申請数では韓国を追い抜いている。韓国と中国の有機EL技術の差は、5年くらいと言われているが、中国企業の追撃がすでに始まっていて、油断できない。そこで、LGディスプレイは液晶ディスプレイを生産する計画であった5世代の生産工場「P10」を有機ELの生産にシフトすることを検討している。「P10」は、京畿道の波州に所在し、サッカー場14個分の規模(10万1230m2)を誇り、単一の工場としては世界最大規模で、投資金額は10兆ウォン(約1兆円)に上る。
有機EL以外にも、韓国企業はフレキシブル有機EL、それから自動車用ディスプレイなど、高度な技術を要する分野に絞って、中国企業の追撃を交わそうとしている。しかし、フレキシブル有機ELの需要が思うほど伸びていない。なぜなら、価格が高い上に、LTPS(低温ポリシリコン)液晶という価格の安いライバルの存在があるからだ。中国はこのように液晶ディスプレイでの成功に自信をつけ、有機ELも、それから半導体産業の育成も狙っている。
中国は政府の支援と大きな自国市場の利点を十分活用すれば、ディスプレイ市場でプレゼンスを高めていくことができると思っている。このような状況なので、市場では中国と韓国企業の熾烈な戦いが繰り広げられ、当分の間、価格の下落は避けられないだろう。ディプレイは現代生活においていろいろな場面で活用されるアイテムなので、その王座をめぐる中韓の真剣勝負が今後も繰り広げられると予想される。
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