【スキャンダル】福岡青洲会病院の整形外科医が看護師・同僚医師と不倫、ストーカー行為~背景に男性医師優遇の風潮(後)
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■肉欲医師の開き直り発言に弁護士も動揺
迅速な対応が求められるストーカー被害の可能性があり、他にもI医師に対する複数の告発が寄せられていたにも関わらず、福岡青洲会病院はなぜ2カ月間もI医師を処分せずに放置し続けたのか。背景には、医療現場における男性医師優遇の風潮がある。
もともと医療現場には看護師などの女性が多いことに加え、高所得の代名詞でもある医師と接する機会も多いため、青洲会病院に限らず「男女関係のトラブルが起きやすい」(力武事務長)という。よくあるトラブルであるがゆえに、「みすごしがちになり、結果的に男性医師に甘くなっていた面は否めない」と認めた力武事務長だが、取材に応じたI医師はどこか不貞腐れた様子で、人命を預かる職業にあるとは思えないほど冷淡だ。
自身の問題行為について、「(妻は)不倫のことや病院から処分を受けたことなどをまったく知らない」とするI医師だが、そうしたスキャンダルが明らかになることの影響については、「それで離婚することになれば、妻が相手(不倫相手)に慰謝料を請求する」と開き直りにもとれる発言をして、同席した弁護士を慌てさせる一幕もあった。
■男性医師優遇の風潮がハラスメントを助長
I医師の実家は、福岡市城南区の歯科医院。父親は県歯科医師会常務理事を務め、福岡市歯科医師連盟の副理事長も歴任した実力者だ。I医師の年収はおよそ1,600万円で、愛車は黒いメルセデス。2015年に福岡市中央区の一等地に一戸建を購入して、順風満帆にみえる医師人生を歩んできた。もっとも、この順風満帆さはI医師の努力や実力だけによって得たものではない。
I医師が卒業した福岡大学医学部は初年度の納付金が約1,000万円、6年間の在学中に最低でも約3,800万円かかる、全国でも有数の高額納付金大学だ。こうした学費が普通のサラリーマン家庭に払えるはずもなく、親が歯科医院を経営しているからこそ私大医学部に入学することができ、医師免許を手にすることができたという事実はI医師本人も認めざるを得ない事実だろう。
一方、I医師の言動によって身も心も傷つけられた女性たちは、ストーカー行為の影響で引っ越しを迫られるなどの出費に加え、日常的にI医師の姿を見て怯えるなどの心理的負担とともに働き続けなければならない。「男と女」の話であるため単純に被害者、加害者と分類できないのはもちろんだが、これがはたして「単なる男女関係のもつれ」に収れんさせてよい話なのかは疑問だ。
「医療現場における男女関係のトラブルにはたいてい、医師と看護師という絶対的上下関係に由来する、あるいは同じ職場でありながら存在する圧倒的経済格差ゆえの、『性的』搾取構造に似た不均衡があります。その構造を利用する男性医師もいれば、無意識にハーレム状態を楽しむ者もいる。医学部入試における女性差別が明らかになりましたが、女性医師が増えればこうした構造も変化するはずです。医療現場は女性医師がキャリアを中断せずに働き続けることができる環境整備を進めなければなりません」(長年医療現場を取材してきたジャーナリスト)
I医師をよく知る医師が「医者じゃなければ、Iがあんなにモテるはずがない」と語るように、I医師はその地位と年収がもたらす恩恵を無批判に甘受しつつ、「関係を知られたら妻から慰謝料を請求されるぞ」と、不倫相手の口を封じる狡猾さを併せ持っている。妻に知られずに自身の恵まれた生活は維持しつつ、ありあまる性欲と暴力衝動のはけ口を、病院内ヒエラルキーにおいて「格下」の看護師に求めていたとすれば、卑劣というほかない。
男女関係も含む男性医師とのトラブルについて、あるベテラン看護師はこう嘆く。
「いつの時代でも、結局損して馬鹿を見るのは看護師だけ、よ」。
(了)
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