2024年12月23日( 月 )

成功体験から抜け出せず 役割を終えた女性向け情報誌(中)

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(株)アヴァンティ

ネットメディアの台頭

 活動領域を広げていく村山氏だったが、対照的に、アヴァンティの業績は低迷していった。広告収入を主な収益源とする同社だったが、掲載した広告に対する実際の効果=費用対効果が重視されるようになると、インターネットを含む同業他社にアヴァンティはその訴求力で見劣りした。

 フリーペーパーを手に取るのは不特定多数の一般読者となるため、一度に大勢の人間の目に触れさせることができるというメリットはある。また、エリア特性を事前に調べたうえで設置・配布すれば、たとえば「女性限定〇割引」などというような、商品・サービスのターゲット層にダイレクトに届けやすいのも強みといえる。

 逆にデメリットとして、一度の設置・配布では飛躍的な効果を上げにくい、最新情報をオンタイムで伝えられない、そもそも伝えられる情報量に限界がある、などが挙げられる。

 こうしたフリーペーパーを含む紙媒体の弱みを補完するインターネット広告は、年々広告市場におけるシェアを高めている。(株)電通が発表した「2018年(平成30年)日本の広告費」によれば、日本の総広告費は6兆5,300億円で、7年連続のプラス成長となっている。そして、このプラス成長の原動力となっているのが、インターネット広告なのだ。インターネット広告にかけられた費用は、1兆7,589億円で5年連続となる2ケタ成長を記録。地上波テレビ広告費の1兆7,848億円を抜くのは時間の問題となっている。紙媒体の新聞・雑誌広告費は、6,625億円で全体の10分の1程度となっている。フリーペーパー・フリーマガジンのそれはさらに低く、2,021億円となっており、過去5年間で平均73億円/年減少している。

 また、インターネット広告はアクセス解析により、地域・年齢・性別といった細かな情報を収集することができる。広告を打つ企業は、これらのデータを基に、紙媒体以上に詳細にターゲットとする顧客に情報を届けることができる。

 顧客が店舗への訪問や電話での問い合わせを必要とせず、オンラインで商品購入・サービスの享受が可能となる点もインターネットの強みだ。消費者が即座にアクションを起こすことができるため、企業にとっても成果や改善点などをいち早く得られるメリットがある。

 近年は、TwitterやFacebookなどのアーンドメディアが勢いを増しており、個人が企業などから依頼を受け商品・サービスの宣伝を行うパターンも散見される。インフルエンサー・マーケティングと呼ばれるこの手法も、即効力に期待できるインターネット広告ならではといえるだろう。

 企業が自社HPなどで情報発信するオウンドメディア。企業が費用を支払い情報を発信してもらうペイドメディア。そして、個人による情報拡散(口コミ)に任せるアーンドメディア。広告を打つという行為に対しても多種多様な選択肢が生まれた。そして、相対的に企業の紙媒体に対する広告効果への見方は、シビアなものになってきているといえる。

 15年6月、村山氏はアヴァンティの代表取締役に復帰したが、すでにフリーペーパーに対する企業の反応は薄く、盛り返しは困難を極めた。

(つづく)
【代 源太朗】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:村山 由香里
所在地:福岡市中央区大名2-6-26
設 立:1993年10月
資本金:1,000万円
売上高:(18/9)約1億1,200万円

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