イオン九州、3社統合を延期 高コストと老朽店、喫緊の課題(2)
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GMS出店、3年間凍結
営業力強化に向け、新年度から柴田社長が営業本部長を兼務する臨戦体制を敷いたが、2カ月で撤回し伊藤文博取締役常務執行役員兼ディベロッパー事業本部長を後任に充てた。営業の意思決定を迅速化する狙いだったが、実際に滑り出して見ると、ほかの業務に時間を割かれ、兼任には無理があったとしている。
今期から3年間はGMSの出店を凍結し既存店強化に経営資源を集中する。この一環で、3月下旬の「イオンモール福岡伊都」に続き、4月下旬に九州の旗艦店「天神ショッパーズ福岡」を改装した。地下1階・地上8階のうち、5階以上は福岡地所(株)にオフィスとして貸し出し、賃料を得る。2月末、イオンストア九州から土地・建物の信託受益権を101億4,700万円で取得しており、今後は賃料を支払う必要がなくなりテナントから家賃を得る立場に変わる。
本社スリム化に着手
経費構造改革の一環として、本社組織のスリム化を進める。部門の統廃合などで本社に勤務する約500人の正社員のうち、3割に当たる約150人を段階的に店舗に配置転換し間接部門を合理化する。本社要員は社員約2,500人の2割を占め、人員配置が頭でっかちになっていた。
店舗では夜間帯や日・祭日に人手不足感が強い。正社員をこれら時間帯に重点配置し、営業力の底上げにつなげる。パート・アルバイトに比べ人件費はかさむが、接客などのサービスを優先する。
3社統合を見送る代わり、人材交流や生鮮、地場商材の共同購入などを通じグループの一体感を強める。前期はMV九州と60人単位で社員を相互に派遣、今期は100人規模に増やす。
1月から佐賀県基山市にイオンフードサプライ(株)が生鮮パックセンターを開設、2社の店舗に供給を始めた。フル稼働すれば惣菜弁当に広げる。
販管費率一貫して上昇
業績は長期低迷している。営業収益は今期で7期連続減収となる。経常利益率は13年2月期に1.13%を計上したのを最後に1%未満の低空飛行が続いている。今期も0.16%とほとんど改善されない。
低収益の元凶は高コスト構造と老朽不採算店。前期の販管費率は33.51%で、(株)イズミの20.86%に比べ12ポイント以上も高い。イズミは分母にテナント売上が含まれるため単純比較できないが、イトーヨーカ堂の24.63%と比べても9ポイント近く高い。同社は販管費を18年2月期に前期比1.5%、19年同1.7%と2期連続で削減したものの、減収で率は上昇した。販管費率は13年の31.10%から、ほぼ一貫して上昇している。
(つづく)
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