石破・野田両氏の連携は自民・立憲の自滅につながる

 参院選で惨敗し、自民党内でも退陣を求める声が強まるなか、石破茂首相(自民党総裁)は依然として続投の意向を示している。一方、立憲民主党は参院選で存在感を示せず、22議席と伸び悩んだ。こうした状況下で、石破首相と野田佳彦代表は、歩み寄りの姿勢を見せている。

 衆参両院で自民、公明両党が過半数を割り、石破首相にとって野党との連携・協力は是が非でもほしい状況にある。

 野田氏は、「『対決より解決』のすごいチャンスだ」と8日の会見で述べた。ただし、『対決より解決』は本来、国民民主党のキャッチフレーズである。野田氏の発言の背景には、参院選で参政党や国民民主党といった新興勢力が台頭したことへの危機感がある。石破首相も、退陣要求の背景にある参政・国民両党の動きを強く意識しており、両者の思惑は一致する。

 企業献金の禁止については自民党内の抵抗が根強いが、立憲が掲げる給付付き税額控除に関して、6日から自民・立憲両党の政調会長が協議を行うなど、着々と両党間の接近が進んでいる。

 しかし、こうした自民・立憲の動きに対し、国民やれいわ新選組などほかの野党は反発している。石破政権がいつまで維持できるか不透明な中で、立憲が政権の延命に手を貸したとなれば、かえって信用を損なう恐れがある。

 「既存政党の政治家は裏で取引している」。新興勢力伸長の背景に、こうした国民の不信が少なからずあることを自覚しなければ、自民も立憲も共倒れになりかねない。

【近藤将勝】

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