イオン九州、3社統合を延期 高コストと老朽店、喫緊の課題(3)
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重い人件費負担
高コストの原因は販管費の43%を占める人件費の高さ。前期の営業収益に占める人件費比率は14.43%で、流通企業では突出して高い。イトーヨーカ堂の10.32%を4ポイント以上も上回る。
イオングループの一員として社員の給与水準が地場スーパーに比べ高く、福利厚生も手厚い。
人件費率は経常利益率1%台だった13年2月期が13.38%で、以後一貫して上昇している。売上が伸び悩んでいるにもかかわらず、社員数が増加の一途をたどっているためだ。期末の正社員数は14年2月期が2,474人で、16年2月期末はダイエー社員を受け入れたことで2,672人と約200人増加。同期の人件費率は13.77%、翌17年2月期に14.19%に跳ね上がった。ダイエーから受け入れた社員の人件費は、イオンから受け取るイオンストア九州の業務委託料で相殺されるため、実際の負担にはならないとはいえ、経営体質が肥大化したことは否めない。
前期末の社員数は2,812人で5年前に比べ13.7%増の338人多い。この間、営業収益は8.7%減った。
正社員が増えた一方で、「コミュニティ社員」と呼ぶパート・アルバイトは5年前に比べ8時間換算で9.0%減った。この結果、総従業員数に占める正社員の比率は14年2月期の22.1%から前期は27.6%に上昇した。見方を変えると、パートのしていた仕事を正社員が肩代わりしたといえなくもない。一般に2割とされるスーパーの正社員比率から見ると、明らかに高い。
今期から本社勤務の社員約150人を店舗に配置転換するが、人件費の圧縮にはつながらない。
高家賃も一因
高コストの原因は高い家賃負担にもある。前期の地代家賃は140億円で、直営商業施設のテナントから徴収する不動産賃貸収入の121億円を上回る”逆ざや”。自社開発の商業施設が少なく、テナントとして家賃を支払う側になっているケースが多いためだ。これにはグループのイオンモール(株)が含まれる。16年3月建替えオープンした姶良店(鹿児島県)はもとはイオン九州の直営だったが、建替え資金の不足からイオンタウン(株)にデベロッパーを譲り、家賃を支払う側に回った。
GMSは一般に本業の小売業では販管費をまかなえず、商業施設のテナントから得る家賃で赤字を補てんしたうえ、利益を出す収益構造になっている。イズミは単体の粗利益1,228億円に対し販管費1,253億円で、差し引き25億円のマイナス。イトーヨーカ堂も、粗利益に家賃収入を加えた営業総利益3,092億円でかろうじて販管費3,045億円を吸収し47億円の営業利益を出している。
(つづく)
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