九州地銀(18行)の19年3月期決算を検証する(4)
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【表1】を見ていただきたい。九州地銀18行のコア業務純利益順位表である。
コア業務純益は、国債売買益や貸倒引当金などの一時的な変動要因を取り除いた本業の収益である。貸出金からの利息収入が柱となっており、ボリュームがその銀行の実力を示している。~この表から見えるもの~
九州地銀18行の19年3月期のコア業務純利益合計は、前期比▲22億円の1,868億円(前期比▲1.2%)となっている。コア業務純利益が前期比より増加している銀行は8行で、減少している銀行は10行となっている。日銀のマイナス金利政策は規模の小さい銀行ほどその影響が大きいことがわかる。
コア業務純利益トップは福岡銀行で、前期比+37億円の650億円(6.1%増)となっており、シェアは前期の32.4%から2.4%上昇し34.8%になっている。
・2位は西日本シティ銀行で前期比+29億円の307億円(10.5%増)。シェアは前期の14.7%から1.7%上昇し16.4%。
・3位は鹿児島銀行で前期比+13億円の184億円(7.9%増)。シェアは前期の9.0%から0.9%上昇し9.9%。
・4位は鹿児島銀行と同じ九州FG傘下の肥後銀行で、前期比+8億円の156億円(6.1%増)となっており、シェアは前期の7.8%から0.6%増加して8.4%となっている。
銀行の本業収益であるコア業務純利益が100億円以上の銀行は、1~4位の銀行と、5位の宮崎銀行(127億円)、6位の大分銀行(108億円)の6行。
・50億円~100億円未満の銀行は7位の十八銀行(66億円)、8位の親和銀行(66億円)、9位の熊本銀行(55億円)の3行となっている。いずれもふくおかFG傘下の銀行である。
・10億円~50億円未満の銀行は、10位の北九州銀行(38億円)、11位の佐賀銀行(34億円)、12位の南日本銀行(23億円)、13位の豊和銀行(11億円)、14位の福岡中央銀行(10億円)、15位の宮崎太陽銀行(10億円)の6行となっている。
・10億円以下の銀行は16位の佐賀共栄銀行(8億円)、17位の筑邦銀行(7億円)、最下位(18位)長崎銀行(118百万円)の3行となっている。
【表2】を見ていただきたい。フィナンシャルグループとその他銀行のコア業純純益比較表である。
~この表から見えるもの~
ふくおかFG傘下銀行のコア業務純利益は、4月1日付で傘下銀行となった十八銀行を加えた4行の合計は839億円となり、そのシェアは44.9%。九州FG(2行)のコア業務純利益は340億円でシェアは18.2%。西日本FH(2行)のシェアは16.5%。
・FG・FHの傘下銀行8行のコア業務純利益(単体)の合計は1,487億円でシェアは79.6%。その他銀行(11行)は380億円でそのシェアは20.4%となっており、今後さらに広がることになりそうだ。
<まとめ>
日銀のマイナス金利政策によって九州地銀の経営環境は一段と厳しさを増していることが読み取れる。コア業務純利益がマイナスに転じる恐れのある銀行は、今は静かに経営統合を模索しているのではないだろうか。
(つづく)
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