九州地銀(18行)の19年3月期決算を検証する(5)
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【表1】を見ていただきたい。九州地銀の純資産残高順位表である。
~この表から見えるもの~
九州地銀18行の19年3月期の純資産残高は、前期比+80億円の2兆9,960億円(0.3%増)の微増となっている。総資産残高は、前期比+2兆3,188億円の59兆5,778億円(4..0%増)となっている。
純資産残高1位は福岡銀行で、前期比55億円の6,700億円(0.8%増)。総資産は前期比6,144億円増加して16兆7,105億円(前期比3.8%増)となっている。自己資本比率は8.54%から0.64%増加して9.18%となり、台替わりしている。
・純資産残高2位は西日本シティ銀行で、前期比▲79億円の5,087億円(▲1.5%)。総資産は前期比5,361億円増加して10兆2,187億円(前期比5.5%増)で、福岡銀行についで10兆円台となっている。自己資本比率は純資産の減少もあり、9.91%から▲0.3%の9.61%になっている。
・純資産残高3位は九州FG傘下の鹿児島銀行で、前期比+123億円の3,245億円(3.9%)増。総資産は前期比1,112億円増加して4兆5,800億円(前期比2.5%増)。自己資本比率は10.72%から▲0.37%の10.35%に減少している。
・純資産残高4位は鹿児島銀行と同じ九州FG傘下の肥後銀行で、前期比+87億円の3,114億円(2.9%増)。総資産は前期比2,442億円増加して5兆8,317億円(前期比4.4%増)となり、自己資本比率は11.08%から▲0.35%の10.73%となり、11%を割っている。
・純資産残高5位は大分銀行で、前期比+56億円の2,019億円(2.9%増)。総資産は前期比1,077億円増加して3兆3,278億円(前期比3.3%増)となり、自己資本比率は10.11%から▲0.14%の9.97%で、10%割れとなっている。
・純資産残高6位は十八銀行で、前期比+17億円の1,672億円(1.0%増)。総資産は前期比▲140億円の2兆9,470億円(前期比▲0.5%)となり、自己資本比率は11.49%から▲0.06%:減少して11.43となったものの、九州地銀18行のなかで、1番高い自己資本比率となっている。
純資産残高7位は宮崎銀行で、前期比▲54億円の1,464億円(前期比▲3.6%)。総資産は前期比1,351億円の3兆1,016億円(4.6%増)。自己資本比率は9.47%から▲1.22%の8.25%となっており、九州地銀18行のなかで、最大の下げ幅となっている。
・純資産残高8位は親和銀行で、1,323億円(自己資本比率9.96%)、9位は佐賀銀行で純資産残高は1,204億円(自己資本比率8.15%)、10位は北九州銀行で1,023億円(自己資本比率11.15%)となっており、ここまでが純資産1,000億円以上の銀行。
・純資産残高11位の熊本銀行は909億円(自己資本比率9.62%)。12位は宮崎太陽銀行で471億円(自己資本比率9.83%)。13位は南日本銀行で430億円(自己資本比率8.29%)。14位は筑邦銀行で419億円(自己資本比率7.34%)。自己資本比率は8%割れとなっている。
・純資産残高15位は豊和銀行で311億円(自己資本比率は8.63%)。16位は福岡中央銀行で277億円(自己資本比率7.02%)。自己資本比率は8%を割り、九州地銀18行のうち最低の自己資本比率となっている。ふくおかFGの子会社でない福岡中央銀行の歴代頭取に、福岡銀行出身者が就任している意味が見えてくる。17位は佐賀共栄銀行で143億円(自己資本比率8.13%)。最下位の長崎銀行は149億円(自己資本比率8.54%)となっている。
<まとめ>
収益を上げるために貸出金を増やすなどの努力も空しく、純資産は増えるどころか九州地銀18行のうち、半数の9行がマイナスとなっている。日銀のマイナス金利政策の影響は一段と深刻さを増しており、2020年3月期の決算は純資産の減少とともに、自己資本比率も悪化する銀行がさらに増加するのではないだろうか。
(つづく)
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