【スーパーゼネコン18年度決算】オリンピック控え業績は最高水準(1)
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売上高1兆円超、スーパーゼネコンと呼ばれるのは(株)大林組、鹿島建設(株)、清水建設(株)、大成建設(株)、(株)竹中工務店の5社だ。竹中工務店を除く4社は東証一部にも上場している。5社はいずれも2020年に開催される東京オリンピックにおいて重要な施設のほか、国の重要な建築物の建設にも数多く関わってきた。5月中旬までに出揃った5社の2018年度の決算を基に、各社を比較してみる。
過去最高収益更新も
売上高、経常利益ともにトップだったのは(株)大林組で、売上高は唯一2兆円超え、経常利益は1,630億円を計上した。同期は、「ダイヤゲート池袋」(東京都豊島区、19年3月竣工)延床面積4万9,661m2、池袋最大級の貸室面積を誇るオフィスビルを竣工させている。
前期比では増収増益となり、過去最高の業績を4期連続で更新した。建設事業受注高は、国内建築事業および子会社の海外建築事業で増加(5.6%増:1兆8,737億円)。同事業の売上高は、6.8%増の1兆9,455億円となった。大型工事を含む豊富な手持ち案件の消化が進み増益。2019年3月期は営業利益(1,554億円)が4期連続で過去最高だった。
売上高で2位だったのは、創業180周年を目前に控える鹿島建設(株)。19年3月期は減益となったが、売上高は過去最高となる1兆9,742億6,900万円を計上し、2兆円突破もみえてきた。完工高は1兆7,763億4,600万円で、このうち建築工事が9,280億9,500万円と、全体の52%を占めている。九州エリアの受注高は726億6,300万円で、前期比128億9,100万円の増額となった。これは過去最高額であり、同社が九州でもその存在感を高めていることがわかる。
今後、九州で予定されている案件としては、「JR九州熊本駅付近高架化(全体事業費:約626億円、19年竣工予定)」や「西鉄天神大牟田線(春日原~下大利)高架化(全体事業費:約557億円、22年竣工予定)」などがある。
ほかに目立った案件としては、国内では「日本橋室町三井タワー」建設を核とする「日本橋室町三丁目地区第一種市街地再開発事業A地区(事業費:1,265億円)」、国外ではシンガポールの「国立伝染病センター新築工事(工事費:約550億円)」などが挙げられる。前期比1,436億4,400万円の増収をはたした同社は、その要因は(1)都心における大規模再開発事業、(2)海外グループ会社による建築工事受注の増加にあったと述べている。しかし、国内、とくに都心部の大規模再開発事業の数には限りがあり、売上高2兆円の達成には、さらなる海外市場の開拓が必要不可欠といえる。
3位は清水建設(株)で、売上高1兆6,649億円(前期比9.6%増)、経常利益1,339億円(同7.9%増)を計上し、増収増益となった。セグメント別に見ると、建設事業は売上高1兆3,793億円(同14.2%増)、利益1,339億円(同26.4%増)と好調に推移。
一方、投資開発事業は18年3月期に大型開発物件を売上計上したことの反動などにより、売上高253億円(同36.6%減)、利益87億円(同20.2%減)となった。その他事業では、エンジニアリング事業やLCV(ライフサイクル・バリュエーション)事業がそれぞれ好調に推移し、売上高5,054億円(同7.8%増)、利益200億円(同11.1%増)となった。
主な完成工事は、「浜松町一丁目地区第一種市街地再開発にともなう施設建築物新築工事」(東京都)、「渋谷ソラスタ新築工事」(東京都)、「ファナック筑波第1ロボット工場建設工事」(茨城県)、「宮古盛岡横断道路 平津古トンネル工事」(岩手県)など。国内の受注高1兆5,538億円のうち、関東エリアが9,323億円(構成比60.0%)、うち首都圏だけで8,353億円(同53.8%)とこのエリアだけで全体の過半数以上と非常に高い割合を占める。一方で、九州エリアの受注高は540億円と、全体のわずか3.5%にすぎない。
(つづく)
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