【スーパーゼネコン18年度決算】オリンピック控え業績は最高水準(4)
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中計・海外と非建設重視
鹿島建設は売上高の約90%が建設事業、清水建設も同90%、大成建設は同92%、大林組は同95%、竹中工務店は同97%といずれも高い水準となっており、建設事業の付帯事業とはいえ、「非建設」のシェアを確立するのは簡単ではないだろう。
しかし、とくに国内の建設市場は近い将来縮小し、ゼネコンは海外や非建設事業に舵を切らざるを得ない時期が来ることは間違いない。すでに大林組は4,675億円(19年3月期・海外建築、海外土木)、鹿島建設は4,559億円(同期・海外関係会社)の売上高を計上。鹿島建設は前期比272%の増益をはたし、大林組の海外事業も好調に推移。清水建設は上記2社にはおよばないが、555億円の海外完工高を同期に計上している。
鹿島建設は「21年以降は非連続な経営環境」になることを予想しており、周辺事業や海外プロジェクトの増加などにより、国内建設事業以外の利益(当期利益)を中長期的には倍近くにまで高める方針をとった【鹿島グループ中期経営計画(中計)2018~2020】。
大成建設についても、20年以降は海外市場の取り込みやM&Aにより事業規模2兆円を目指すとした【大成建設グループ中計2018~2020】。
清水建設は23年までの5年間で不動産開発事業へ5,000億円を投じて、非建設事業の収益基盤を確立させていく戦略をとったほか、海外建設事業における収益力の強化も方針に掲げた【清水建設グループ中計2019~2023】。
大林組は21年までの5年間で建設技術の研究開発や不動産賃貸事業(東京都心)、M&Aなどへ4,000億円を投資することを定めていた。創業130年を迎える同期の目標としていた売上高2兆円、営業利益1,500億円は19年3月期にすでに達成。開発事業や再生可能エネルギー事業など新領域事業を事業戦略に描いた【大林組グループ中計2015~2021】。
竹中工務店も2025年を最終年とする【2025年の成長戦略】でステップ3の目標に「新たな事業領域にチャレンジし結果を出す」ことを据えた。中期経営計画では、5社とも「建設事業」以外に活路を見出そうとしていることが浮き彫りとなった。
1兆円から2兆円の売上高を誇るスーパーゼネコンだが、売上高、利益ともに建設事業(完工高)がシェアの大半を占める。「我が世の春」を謳歌するスーパーゼネコンも現在はオリンピックを始め開発需要に支えられているが、基本路線としてはやはり海外市場に目を向ける以外に長期的な戦略は描きにくい。現状では大林組と鹿島建設が抜きん出ているとみられるものの、これからもアジアを中心に都市開発需要は高まっていくとみられる。成長市場のなかで、日本のスーパーゼネコンが頭角を現すことができるか、「我が世の春」だからこそ成長への布石が試されている。
(了)
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