【書評】日本が抱える問題に切り込む『日本を殺すのは、誰よ!』 ~新井紀子、ぐっちーさん(著)
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内閣府は3月の景気動向指数からみた国内景気の基調判断を前月までの「下方への局面を示している」から「悪化を示している」と下方修正した。景気は良いと聞かされながらも実感をもてず、日本が抱える多くの問題から不安を抱いてきた中小零細企業の経営者は多いのではなかろうか。
たとえば、人口の減少は、企業を支える労働力の不足や地域経済の衰退などさまざまな問題を引き起こし、とくに地方の多くで問題が深刻化している。経済の担い手である若者が都市部に流出して地域の産業が衰退、税収が減って自治体が担うべき社会保障やインフラの整備が行き届かなくなるという悪循環に陥っているケースもある。
こうした日本が抱えるさまざまな問題に、『AI vs.教科書が読めない子どもたち』の著者で「ロボットは東大に入れるか 」プロジェクトディレクタとして活動する数学者・新井紀子氏と、『なぜ日本経済は世界最強といわれるのか』、『ぐっちーさんの本当はすごい日本経済入門』などの著者で「ぐっちーさん」の愛称で親しまれ、補助金に頼らない地方創生などにも携わる投資銀行家および経済評論家・山口正洋氏が、『日本を殺すのは、誰よ!』(東邦出版、1,500円)で切り込んでいる。
タイトルから過激な印象を受けるが、内容は子どもたちの教育から地方創生、少子高齢化による人口減少と地方の衰退、女性が活躍できるための基盤づくりの必要性、これからの日本を支える若者支援、50歳以上の中・高年の生き方や在り方など、幅広い分野にわたって自身の経験などを通して見える日本が抱える問題と解決策を示している。
日本が抱えている問題とは何か。現実を知ることからしか解決策は見えてこない。将来に不安を感じる今だからこそ、幅広い層に読んでもらいたい一冊である。
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