2024年12月22日( 日 )

東京ドーム約17個分、福岡市のセントラルパーク構想

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 福岡市は、12日、大濠公園ならびに福岡高等裁判所跡地までを含む舞鶴公園周辺エリアを一体整備する「セントラルパーク構想」の基本計画(案)を公表した。大濠公園と舞鶴公園を合わせた面積は約80haにおよび、これは東京ドーム約17個分に相当する。同計画は今後10年間の予定で組まれており、都心のオアシスとしての魅力向上、回遊性の強化を図る。

未来へつながる福岡のシンボルに

 福岡のセントラルパークが目指す姿として掲げられた基本理念は「時をわたり、人をつなごう。~未来へつながる福岡のシンボルへ~」。ジョギングやウォーキングなどの利用に加え、イベントの開催地としての活用も視野に入れる。また、四季折々の植物・生き物の観察が楽しめる自然公園としての役割ももたせるほか、福岡市美術館の存在を生かし、アート巡りの拠点としての存在感も高めていく。

休日を過ごしたくなる憩いの場を目指す(画像はイメージ)

 すでに導入されている「鴻臚館・福岡城バーチャル時空散歩」といった、歴史と最先端技術の融合による観光・ツーリズムも先鋭化させいく。パーク内のWi-Fi整備や、VR・ARなどのデジタル技術を用いた解説サービスの充実により、古代と現代の福岡市のイメージを比較しながら楽しめる、コト消費の推進が行われるものと考えられる。

安全面、史跡への配慮

 多様な要素を内包させることで、市民・企業の利活用を目指すセントラルパーク構想。その実現のためには、安全面への配慮も欠かせない。一例として、現在大濠公園では、出入り口で自動車と歩行者が入り乱れる状況が起きている。そこで、大濠公園メインエントランスの自動車と歩行者の動線を分離することで快適なスペースを確保し、パーク外からも水と緑の雰囲気を楽しめるようにする。

大濠公園メインエントランス整備後のイメージ

 また、パーク内に現存する土塁などの史跡は、雨風や歩行者の踏圧によって損なわれる可能性が高い。発掘調査や文献資料を基に、覆土などによる保存・顕在化に注力。本質的な価値の維持を目指す。

イメージ図:覆土による土塁復元、樹木の整理により公園間の見通し・動線も明確に

 団体観光客への対応もすでに考えられており、大型観光バスも駐車可能な駐車場を「史跡地外」に確保する予定となっている。

全8エリアに大別、気になる裁判所跡地

 セントラルパーク構想では、(1)大濠公園北側エントランス、(2)くじら公園~三ノ丸広場、(3)舞鶴中学校跡地・城内住宅、(4)舞鶴公園線沿線、(5)福岡城本丸・二ノ丸周辺、(6)鴻臚館跡、(7)福岡高等裁判所跡地、(8)大濠公園南側エントランスと、パーク内を大きく8つのエリアに分ける方針となっている。

 注目されるのは天守閣再現の行方(5)、そして(7)。(5)の福岡城本丸・二ノ丸周辺エリアに関しては、かつての防衛拠点としての自然地形を巧みに取り入れた立地をいかし、訪れた人が眺望を楽しめるようにする。

映える写真もたくさん撮れそうだ

 (7)の福岡高等裁判所跡地の活用に関しては、現状「未定」となっている。鴻臚館跡に関係する遺講が地下に残っていると想定されている場所ということもあり、建物解体後の発掘調査の結果によっては状況が一変する可能性があるためだ。

 ただ、福岡市中心部の博多・天神の近接地にあり、セントラルパーク舞鶴公園側のメインエントランスになるため、「(仮称)セントラルパーク総合案内施設」を設ける方針としている。また、先述の大型観光バスの駐車場候補地にもなっている。

福岡高等裁判所跡地整備後イメージ

 新たな交流地、観光名所として、市民をはじめ多くの人々に長く愛されるものになることを期待したい。

【代 源太朗】

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