2024年12月23日( 月 )

Jリーグを九州から盛り上げろ!九州のクラブの経営力を診断(前)

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 サッカーのJリーグ史上、稀にみる復活劇といえる。今季、6シーズンぶりにJ1に復帰した大分トリニータが躍進を続けている。J1の在籍歴がありながら、初めてJ3に降格したクラブとなった衝撃から4年。チームは復活を遂げた。今回は九州のクラブチームの経営力を診断する。

ヴィッセル神戸の営業収益はイニエスタ効果でJリーグ過去最高

 Jリーグは5月24日、J1~J3の全54クラブのうち、3月決算の柏、湘南、磐田、YS横浜を除く50クラブの2018年度の経営情報を開示した。50クラブの合計の売上高にあたる営業収益は8年連続の増加で、1,146億円(前年度比131億円)に達した。

 営業収益のトップは、楽天が運営するヴィッセル神戸。昨季途中に元スペイン代表のアンドレス・イニエスタ選手が加入。イニエスタ効果で営業収益は96.6億円(同44.2億円増)を計上。17年度の浦和レッズの79.7億円を抜きJリーグ過去最高を更新した。

 イニエスタ選手の推定年俸は32.5億円の3年契約。チーム人件費44.7億円(同13.7億円増)は、スポンサー収入62億円(同28.5億円増)で賄った。

 楽天の大盤振る舞いで、神戸は日本一の“金満チーム”になったが、チームの成績は11位と低迷(6月15日現在)。優勝争いとは縁遠いのが悩みの種だ。

県民、行政、経済界三位一体の支援で大分トリニータがJ1に復帰

 一方、経営危機からの復活劇を演じたのが大分トリニータである

 大分は2009年、ユニフォームスポンサーが相次いで撤退したことから、経営危機が一気に表面化。2010年1月期時点で、債務超過は11億6,700万円に達し、クラブ消滅の危機に陥ったが、Jリーグの6億円の緊急融資を受けて消滅を免れた。

 そんな逆境下で、12年10月に県民の寄付や地元政財界の支援でJリーグに未返済だった残り3億円を返済。それでも債務超過を解消しないと、Jリーグに参加できなくなる。

 14年3月、大分銀行系の投資会社が運営する中小企業再生ファンド「おおいたPORTAファンド」から3億5,000万円の出資を受けた。資本金とファンドの出資金の「99%減資」で債務超過を解消。県民、行政、経済界の三位一体の支援で大分トリニータは、Jリーグに参戦できることになった。

 大分トリニータの運営会社大分フットボールクラブの2018年度の営業収益は11.2億円、チーム人件費は4.8億円。J2平均の営業収益15.4億円、チーム人件費6.8億円を大きく下回る。J2の最低クラスの年俸で戦って、J1昇格をはたした。今季も6位(6月15日現在)と大活躍している。日本一の“金満チーム”、楽天の神戸より上位だ。

(つづく)
【森村 和男】

(後)

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