2024年12月21日( 土 )

人件費高直撃、減益が12社 主要流通企業14社の2~3月期決算(前)

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これまでに出揃った主要流通企業14社の2019年2~3月期決算によると、増収・経常増益はマックスバリュ九州1社で、増収減益4社、減収増益1社、減収減益8社と、減益企業が12社に達した。売上が伸び悩む一方で、人件費が高騰し収益を圧迫した。今期の経営環境は一段と厳しい。消費低迷の続くなか、10月に消費増税を控える。相次ぐ食品値上げも消費者の節約志向を強めそうだ。物流費など経費上昇も収まる気配はない。「冬の時代」が長期化する恐れがある。

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増税以来最悪に

 経常減益企業が全体の8割を超え、2014年の消費増税直後以来、最悪の業績となった。人手確保のため従業員の待遇を改善、人件費が高騰したのが最大要因。一方で、消費者の生活防衛志向が根強く、ディスカウントストアやドラッグストアなどの低価格業態に客の一部を取られた。食品スーパーが出店を抑制したこともあって減収企業が8社に上った。

 唯一増収増益だったのはマックスバリュ九州(株)。既存店が前期比0.5%伸び、6店の出店効果も加わって営業収益は1.4%増えた。こだわり商品や地域の名産品の品ぞろえを増強したことで粗利益率を23.87%と0.30ポイント改善。出店による経費増はあったが、24時間営業店の縮小などで、伸び率を2.3%にとどめ、12.0%の経常増益を達成した。

 今期は2期連続増収増益を見込む。5月開店した「マックスバリュエクスプレス千早店」と「ザ・ビッグ大牟田店」など少なくとも4店を出店する。前期の新店も加わり売上高は1,840億円と3.7%伸びる。出店費用はかさむが、増収で吸収し経常利益は4.9%増の25億5,000万円、当期純利益2.8%増の11億円と小幅増益を確保できる見通し。

増収減益が4社

 「増収減益」は(株)イズミ、ダイレックス(株)、(株)サンリブ、(株)ミスターマックス・ホールディングスの4社。

 イズミは西友から継承した大型店2店と食品スーパー3店の計5店を出店したが、既存店が0.6%減と苦戦した。連結営業収益は予想から約173億円下振れし、0.3%増の7,321億円にとどまった。人件費の3.8%増を始め販管費が3.1%増加したのを吸収できず、経常利益は8.1%減と10期ぶりの減益になった。

 今期の営業収益は4.0%増の7,613億円の予想。旧イトーヨーカドー福山店を始め計5店を開設、前期の新店もフルに寄与する。経常利益は5.4%増の370億円に回復する見通し。

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合併効果で増収、サンリブ

 サンリブの営業収益は13.1%増の2,009億800万円だった。17年9月合併した(株)マルショクが通年で加わった。マルショクの大分県店舗を中心に10店を閉鎖しており、旧2社合計と比べた実質ベースでは減収だった。

 営業利益は50.6%減の5億5,800万円、経常利益は43.7%減の7億300万円に落ち込んだ。粗利益率が14.68%と0.16ポイント悪化したことに加え、販管費の伸び率が15.4%と増収率を上回ったのが響いた。

 最終損益は前年度のマルショクとの合併にともなう店舗の減損損失などの特別損失が大幅に減り、6億3,100万円の赤字から6,500万円とわずかながら黒字に転換した。

 今期は、前期まで2期連続で見送っていた出店を山口県で2店舗、北九州市小倉南区1店と再開する。今秋、イオン徳力店跡に開業予定の新守恒店は近くに守恒店があるが、商圏防衛とドミナント構築を兼ねる。

今期は3店出店のサンリブ

(つづく)
【工藤 勝広】

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