2024年11月17日( 日 )

人件費高直撃、減益が12社 主要流通企業14社の2~3月期決算(後)

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リテール3社は減収

 (株)リテールパートナーズ傘下の事業会社は3社とも減収で、(株)マルキョウと(株)マルミヤストアは減益になった。

 (株)丸久は1店を出店したが、既存店が前年割れだったため0.3%減とわずかだが2期連続で前年に届かなかった。経常利益は31億5,500万円で、わずかに前年を上回った。今期は秋に北九州市門司区に九州3号店を出店する。

 マルキョウの売上高は0.6%減の828億8,500万円だった。リテールグループ入り前の16年9月期から実質4期連続減収となる。経常利益は21.0%減の15億3,100万円で、16年9月期から4割減少した。当期純利益は前年あった減損損失の計上がなくなり2億4,500万円の赤字から7億8,800万円の黒字に転換した。

 経営統合後も経営方針は変わらず、出店も行っていない。減収幅に比べ減益幅が大きいのは統合がコスト増を招いていることを示す。具体的には持株会社への費用負担や会議、通信などの経費の増加だ。今期の出店は見送る公算が大。

 マルミヤストアの営業収益は1.5%減の268億9,000万円だった。仕入・物流を一体化している子会社の(株)新鮮マーケットが94億2,800万円(前期比8.1%増)を売り上げており、同社と一体と見ると増収になる。

 販管費が2.2%増えたことや粗利益率が20.68%と0.24ポイント悪化したため、経常利益は32.5%減の3億4,800万円、当期純利益31.0%減の1億4,500万円と大幅減益になった。

減収減益、イズミグループ3社

 (株)トキハインダストリーは2期連続の減収減益だった。売上高は主力店の1つ、大分南センター店の建替えにともなう一時休業が響き317億3,100万円と1.4%減った。人件費増で経常利益は16.9%減の2億3,200万円、当期純利益は23.0%減の8,100万円の大幅減となった。

 今期は同社店舗では3番目に売上の大きかった南大分センター店の営業再開で増収に転換できる見通し。親会社のトキハインダストリーが別府店を改装するのに合わせテナント出店している地下1階売場を刷新する。

 イズミグループの食品スーパーは(株)ユアーズを含め3社とも減収減益だった。

 ゆめマート熊本の営業収益は1.1%減の276億7,400万円、営業利益は22.5%減の7億6,300万円だった。営業減益は2期連続。

 ゆめマート北九州(旧・スーパー大栄)は営業収益が6.1%減の159億1,200万円、営業利益41.1%減の3億2,800万円だった。当期純利益は、前年あった資産売却益がなくなったため1億8,000万円と71.0%の大幅減になった。

 減収は旧生鮮ディスカウント店の大幅落ち込みが主因となっている。閉店はなかった。営業利益は人件費増に加え、社名変更にともなう看板の架け替えや改装費用などがかさんだ。

 今期からイズミグループの店舗再編でユアーズの北九州9店と山口県5店を継承し32店になる。8月にはイズミ子会社になってから初の大型投資となる永犬丸店(北九州市八幡西区)を建替えオープンする。

 営業収益は76.0%増の280億円、経常利益47%増の5億円の計画。ユアーズから社員148人が移籍し286人になる。イズミグループの中期計画では最終年度の21年2月期に営業収益を300億円に引き上げる。

 ユアーズの19年2月期は営業収益が3.9%減の394億8,600万円、営業利益が1.3%減の6億4,900万円だった。

経常利益率12社下落

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 14社中、経常利益率が上昇したのはマックスバリュ九州と丸久の2社だけだった。【表Ⅱ】の8社の販管費率はナフコを除く7社が上昇した。ナフコは閉店にともなう人員減効果が大きい。

 今期の経営環境は前期より不透明感が強い。実質所得の目減りで消費者の生活防衛志向は強まっている。10月の消費増税の影響は見通せないのが実情。政府の打ち出したキャッシュレス購入客に対するポイント還元で恩恵を受けるのは一般小売店とコンビニくらいで、スーパーでの消費刺激策にはなりそうにない。食品は軽減税率適用で影響は少ないといわれるものの、楽観はできない。春からの加工食品の値上げも消費を冷やす恐れがある。

 売上不振に人件費や物流費などのコスト高、競争激化の三重苦で流通企業の業績低迷が長期化することが懸念される。

(了)
【工藤 勝広】

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