「テレビは企業側の奴隷」、山本太郎氏がマスコミを批判
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「れいわ新選組」から参議院比例代表に立候補している山本太郎氏(44)は13日、東京・JR渋谷駅前で街頭演説し、「テレビは企業側の奴隷ですよ」「新聞でも本当のことなど流れない」などとマスコミを批判した。
ハチ公前広場で「れいわ」の他候補とともに支持を訴えた山本氏は、終盤、消費税の役割に言及した。全額社会保障の充実と安定に充てるとして導入された同税収8兆円のうち、これに充てられたのはわずか16%。並行して所得・法人の両税が引き下げられていることを指摘した。「その尻ぬぐいとして消費税が使われてることに対して、どうしてテレビで本当のことを言わないんだってことですよ」と述べると、「そうだ」の歓声と拍手が湧いた。
「テレビがいうわけがないじゃないか。だって、テレビは企業側の奴隷ですよ。コマーシャルを流してもらうためにお金が入って来るのがテレビ。神様なんですよ、スポンサーは。テレビで流れる内容に、あなたのためになる情報なんてほとんどございません。消費税が本当は不公平な税制であることは伝えられません。余計なことを言ったら、財務省を敵に回し、国税が入りますよ」
「新聞でも本当のことは流れませんよ。消費税が10%になったら、軽減税率が導入される。新聞も適用されるじゃないか。自分たちが得をするためには、消費税の本当のことなど伝えられるはずがない。テレビを信じすぎたら駄目。新聞を信じすぎたら駄目ですよ」
実際、「れいわ」の動きはテレビや新聞でほとんど取り上げられていない。ウェブ上では大手紙が盛んに特集を組んだり、山本氏のインタビューを掲載しているが、あくまでデジタル版で紙面にはない。公認候補の発表記事さえ、紙面に掲載した社は半数以下だった。
世論調査では、14日の朝日新聞が「れいわ」支持率を1%と報じた。しかし、同党の独自調査では4%が出ている。2人が当選できる数字だ。しかも選挙前の調査で、現在どれだけ伸びているか未知である。
10日の産経新聞電子版は東京選挙区の情勢として、「丸川(自現)、吉良(共現)、山口(公現)が先行し、これに武見(自現)、塩村・山岸(ともに立新)が続き、音喜多(維新)と競り合っている」とし、「れいわの野原は出遅れている」「野原は山本の支持者を取り込み切れていない」と「れいわ」から同選挙区に立候補する野原善正(のはら・よしまさ)氏の劣勢を伝えた。
しかし、山本氏は14日、千葉県のJR柏駅前の演説で、野原氏について「自民党の調査が流れてきたので恣意(しい)的な数字を含んでいるかもしれないが」と断ったうえで、「音喜多さんと近いところにいるという情報です」と明かした。
一方、悪宣伝は続く。「人気取り」「ポピュリズム」「財源の裏付けのない政策を乱発」などの語句が各紙に躍り、バラエティ番組では「山本太郎なんて」とはなから人格否定する芸人が映る。ネットニュースには、山本氏がNHK大河ドラマ「新撰組!」の同窓会から閉め出されたとのゴシップ記事や、山本氏が説く王道のマクロ経済理論を批判した新自由主義者のコラムがトップページに出てくる。
山本氏を追うマスコミ記者は日ごと増えている。12日、東京のJR品川駅前で開いた「れいわ祭」には、30人超の記者がいた。演説の終わった8時すぎ、山本氏は在京キー局の女性記者につかまり、質問攻めに遭っていた。「ほとんどの市民が最低賃金1,500円を支持しないと答えましたが」「原発の代替が火力発電では、解決にならないのでは」。
調べたところ、「支持しない」という街頭調査は時給1,500円を支払えない事業者に政府補償を義務付ける前提を伝えていない。山本氏の提唱する火力が二酸化炭素排出量の少ないLNG(液化天然ガス)を利用したものであることを見落としている。極めて悪質ではないか。
このテレビ局はカメラやADを含め5、6人の集団でカメラを回す。山本氏が怒ったところを収録しようとの意図は明白だ。オウム真理教を弁護した横山昭二氏や、秋田児童連続殺害事件の畠山鈴香死刑囚のように、真実を語る者を悪人として大衆に刷り込むのはたやすい。ただ、怒らせればいい。
山本氏は12日、品川駅前で開かれた「れいわ祭」で、自身に向けられた砲列に「どうせ、選挙結果を流すときの映像を集めてんでしょ、ご苦労さん」などと皮肉った。しかし、私の見解は違う。彼らは諜報(ちょうほう)活動のために送り込まれていると確信する。
『週刊ポスト』2010年8月13日号には、小渕内閣で官房副長官を務めた鈴木宗男氏の貴重な証言が載っている。マスコミ記者が書く取材メモは、官房機密費の関係から官邸に「上納」されているという。
鈴木:「メモっていうものはぐるぐる回りますから、誰でも入ってくるんですよ、それなりの地位にいれば。番記者を通じて全部入ってきますよ。お金も何も要りません。1回、全部、キャップ、デスクに上がるわけですから」
記者会見でマスコミ記者たちがパソコンをバチバチたたいて無邪気につくったメモは通常、野党対策に使われる。しかし、連立政権の場合は「友党」への監視にも使われる。謀反の兆候を通報するためだ。当の記者たちは自覚のないまま。私は旧国民新党の記者会見に毎週通い、そのことに気付いた。
取材メモの行き先は国内にとどまらない。『秘密のファイル』春名幹男(共同通信社)によれば、1980年初め時点で日本には100人以上のCIAキャリア要員(Case Officier)がいる。各要員は5人程度の情報協力者(Agent)を抱え、官庁のほか新聞社やテレビ局に送り込まれている。
中央学院大学の西内雅教授(故人)が1972年に入手した中国共産党の対日工作マニュアルには、「10人の記者より、1人の編集責任者を獲得せよ」と記されている。新聞社の場合、各記者からの原稿はデスクに上がって来る。記事の利用方法は、情報協力者のデスクの裁量である。
国民を救おうとする本当の政治家の誕生を、マスコミ記者たちはなりわいとして葬っている。
<プロフィール>
高橋 清隆(たかはし・きよたか)
1964年新潟県生まれ。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)、『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)、『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)。ブログ『高橋清隆の文書館』。関連記事
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