2024年11月06日( 水 )

IR環境アセスメントへの無知 実行計画は大幅な遅れの可能性あり

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 前回、長崎ハウステンボス(HTB)へのIR Project=カジノを含む統合型リゾート施設誘致に関連して、過去の巨額な投資での開業から、現在に至る度重なる崩壊の歴史を述べた。

 「要は、この開発案件は後背地人口の多い大都市でないと採算は取れない」と筆者は結論付けてきた。

 今回は、その角度を変えて、本件開発に関連する、環境問題に主眼を置いて以下記述してみた。

 HTBの創業者・神近義邦氏は、当初からこの環境問題には大変熱心で、先に説明した当初の投資額3,000億円の大半を、この環境汚染の対策費用に充当している。あれから、おおよそ30年が経過した。

 先日から、同じくIR Projectを積極的に誘致表明している北海道苫小牧市で、反対派の住民(環境団体を中心に72%)から当該開発地における環境汚染の影響で、ヒグマや北キツネ、多種の渡り鳥、シャケなどの魚類などの生息地および森林が、広く破壊される可能性が高いとして、北海道行政に"環境アセスメント(環境影響評価調査)"を実施するように迫っていることが判明している。

 すでに、この問題は各報道機関により、地元では大問題になりつつあるのだ。

 しかも、大型開発案件の当該地には必須条件の、この"環境アセスメント"を行政のプロである苫小牧市は計画書には謳っているものの、事前調査はいまだ不実行で、上部組織となる北海道知事は道議会によって本件開発が公式に承認されたら、実行すると公言している。( 現在、鈴木直道新知事は本件開発に関して態度を保留)

 これは、いうまでもなく法律(条例)である!

 これは、北海道行政と候補地である苫小牧市行政の連携の悪さに起因した、本末転倒の超お粗末な現状と顛末である。メディアから叩かれて当然の成り行きだ!!

 では、長崎県行政、佐世保市行政ではどうか?近年環境問題が世界的にクローズアップされる中、環境アセスメント法(環境影響評価法、環境庁)ちなみに同法は、1997年に制定された法律で、それ以前の評価調査の結果は認められず、これ以降は再度評価調査を実施しなければならないと決められている。

 HTBの開業は、すでにお伝えしたように1992年である。よって、定かではないが、これは再度実行する必要があるのでは?と考えている。または「近隣の住民から“環境アセスメント“をやれ」と言われたときに「住民に抗い、これに対抗できる政治家はいるのか?」と疑問が出てくる。票は政治家の命、ギャンブル依存症などの抽象的なことで反対するどころの話ではないのである。

 プロであるはずの北海道行政も、前のめりになっている政治家、首長が積極的な誘致展開をしているのにもかかわらず、この始末である。

 先日、大阪でも、万博の候補地・夢洲(埋め立て地の人口島)の土壌汚染を理由に、反対派がこの"環境アセスメント"を実施するように行政に申し入れている。

 要は、この環境アセスメントで定められた評価には、早くて3年、遅ければ5年以上の期間が必要で、到底来年度から始まる政府のIR開発申請(全国に3カ所)には、まず間に合う筈がないのである。

 環境アセスメントの結果次第では、許可されず、今までに費やした巨額な費用が露と消えてしまう可能性もゼロとはいえない

【青木義彦】

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