2024年11月23日( 土 )

九州地銀(18行)の20年3月期(19年6月期)決算を検証する (3)

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 【表1】を見ていただきたい。九州地銀(18行)の2020年第1四半期(6月期)決算の預金残高順位表である。総預金=預金+NCD(譲渡性預金)。

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~この表から見えるもの~

 九州地銀18行の19年6月期の総預金残高は、前年比+1兆524億円の47兆7,825億円(前年比2.3%増)となっている。増加額の内訳を見ると、預金残高は+1兆0,697億円と増加しているが、利息の高いNCDは▲173億円と減少している。

 総預金残高1位は福岡銀行。前年比+4,061億円の11兆461億円(3.8%増)。

・2位は西日本シティ銀行。前年比+2,177億円の8兆5,013億円(2.6%増)。

・3位は肥後銀行。前年比+705億円の4兆8,117億円(1.5%増)。

・4位は鹿児島銀行。前年比+994億円の4兆1,392億円(2.5%増)。

 上位地銀4行は金融グループに属しており、その総預金残高のシェアは59.7%。預金残高は59.6%.。NCDは60.5%となっており、圧倒的なシェアを占めている。

・5位の大分銀行以下を見ると、昨年6月期に比べ順位変動があったのは、佐賀銀行と親和銀行。8位に順位を上げたのは佐賀銀行で、前年比+1,047億円の2兆3,564億円(4.6%増)。9位は親和銀行で前年比▲126億円の2兆3,509億円(▲0.5%)と、わずかな差で逆転されている。

 総預金が前年比減少している銀行は、熊本銀行・親和銀行・南日本銀行・佐賀共栄銀行の4行となっている。

・熊本銀行の総預金残高は前年比▲261億円。NCDが▲189億円。預金が▲72億円のマイナスとなっており、預金が集まらない厳しい状況にあることがわかる。

・親和銀行の総預金残高は前年比▲126億円。マイナスはNCDの▲197億円によるもの。預金は+71億円。しかし、来年10月に合併を予定している十八銀行は+468億円と大幅に増加しており、重複する店舗を統廃合する主導権は十八銀行が握ることになりそうだ。

・南日本銀行の総預金は前年比▲80億円の7,449億円(▲1.1%)。NCDはなく、預金が減少している。競合する宮崎銀行の総預金は、前年比+384億円の2兆6,088億円(1.5%増)。内訳はNCDを前年比▲361億円(▲19.8%)と大幅に圧縮。しかし、預金は+745億円(3.1%増)と大幅に増加。宮崎県内で圧倒的な強さを見せており、宮崎太陽銀行が単独で生きていくことが厳しい状況にあることが読み取れる。

・佐賀共栄銀行は前年比▲6億円(▲0.3%)。NCDはなく、預金が減少している。一方、競合する佐賀銀行の総預金は、前年比+1,047億円の2兆3,564億円(4.6%増)。内訳は、NCDが前年比+493億円(385.2%増)。また預金は前年比+554億円(2.5%増)と大幅に増加させており、宮崎太陽銀行と同様、佐賀共栄銀行が単独で生き残るには厳しい状況にあるようだ。

<まとめ>

 九州地銀18行のうち、収益の関係から利息の高いNCDを取り扱っていない銀行は、南日本銀行、宮崎太陽銀行、佐賀共栄銀行の3行で、いずれも第二地銀。

 NCDが前年比減少している銀行は、福岡銀行、宮崎銀行、親和銀行、熊本銀行、大分銀行、鹿児島銀行、十八銀行、福岡中央銀行の8行。ふくおかFG傘下の4行もNCDを圧縮している。一方、NCDが前年比増加している銀行は、西日本シティ銀行、肥後銀行、佐賀銀行、北九州銀行、筑邦銀行、豊和銀行、長崎銀行の7行。

 今や、NCDは総預金残高の調整に利用されており、NCDの増減は良きにつけ悪しきにつけ、その銀行の預金残高を予測するバロメーターとなっている。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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