2024年11月23日( 土 )

政府追及事案山積、直ちに国会審議を再開せよ

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は「いたずらに日韓関係を悪化させ、日本経済の悪化に拍車をかけている」安倍内閣を批判した9月5日付の記事を紹介する。


 衆議院予算委員会は6カ月、参議院予算委員会は5カ月間開かれていない。国会は6月26日に延長なしで会期末を迎えた。

 予算審議終了後、国会は開店休業状態だった。参院選後に臨時国会が開かれたが形だけの開催に終わった。

 9月11日に内閣改造、自民党人事が行われると報道されているが、国会は本来の職責を果たしていない。

 安倍内閣は米国と通商交渉を行い、9月末にも署名する流れだ。安倍内閣は日米FTAを締結しないと宣言してきたが、日米で合意が結ばれようとしている通商協議は紛れもないFTAである。

 米国はこの協定を
“aJapan-UnitedStatesTradeAgreementongoods,aswellasonotherkeyareasincludingservices”

と表現している。

 安倍内閣が主張している「TAG」は英文表記の最初の部分

 “aJapan-UnitedStatesTradeAgreementongoods”

であり、「物品貿易協定」としているが、日米通商協議は

 “on goods”

だけでなく(=as well as)、

 “on other key areas including services”

を含むことを英文表記が明確に示している。

 国際法(WTO)上、MFN(最恵国待遇)原則に反する特定国間での関税の引き下げはFTAを結ばないかぎり不可能である。日本が米国からの牛肉、豚肉の輸入関税率を引き下げるには、日米間の協定がFTAであることが必要だ。したがって、日米が締結する協定はFTAあるいはEPAということになる。

 安倍首相は国会で日米FTAはやらないと繰り返し明言してきた。この点を追及しなければならない。また、日本から米国への自動車輸出の関税については、TPPにおいて、普通自動車は14年間、売れ筋のSUVなどは29年間、関税を引き下げないが、普通自動車は25年目に、SUVなどは30年目に撤廃するとされた。この取り決め自体が、日本の国益を喪失するものだが、今回の日米FTAでは関税率引き下げ全体が消えた。遠い将来の自動車関税撤廃さえ消滅したのだ。

 それだけではない。トランプ大統領は日本の対米自動車輸出に25%の制裁関税を発動することもできると明言したのだ。

 このような不平等条約を締結したのに日本のメディアが何も騒がない。江戸時代であれば、皇居周辺で交渉責任者が辻斬りにされてもおかしくない程度の交渉結果である。

 国会が開かれないから、行政に対するチェックがまるで働かない。安倍内閣は酔っ払いが絡むように韓国に難癖をつけているが、この問題も日本のメディアが中立・公正の報道をまったく行わない。

 インターネット上の主要なポータルサイトは大資本の支配下にあり、韓国攻撃の情報ばかりが流布されている。

 発信源の大半はフジサンケイグループのメディアであり、中立性、公正性、客観性をまったく備えない一方的な言説だけが流布されている。

 日本企業の徴用工に対する賠償責任を認めた韓国の大法院判断に対して日本政府が異議を唱えることは許される。しかし、「国際法違反」であるかどうかについては、法律専門家の間でも見解が分かれている。

 ※続きは9月5日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「日本経済急降下露見前解散総選挙の可能性」で。


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