2024年11月05日( 火 )

西日本新聞よ!現実を直視せよ(3)─(株)西日本新聞社OB鼎談(ていだん)─

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 ――Aさん、Bさんより一世代後に西日本新聞社でご活躍されたCさんは、先輩方のお話を聞かれていかがでしょうか

 C:私は、バブル終焉期に入社しました。営業、そして開発事業に従事し、西日本新聞社の本業と関連事業の両方を経験することができました。それに関しては、今も感謝の言葉しかありません。

 営業の最前線、そしてメディアなどの関連事業に関わり、新聞業界の全容を見ることができました。その経験をさせていただいたからこそ、現在の西日本新聞社には、失望しか感じません。

 先輩のAさん、Bさんのように有能で、使命感をもった人たちが西日本新聞社を支えていたからこそ、同社は何とか今日まで生き延びていられるのではないでしょうか。

 ――Cさんが西日本新聞社に「失望」した一例をお聞かせください

 C:同社の中核事業である販売事業については、販売店に丸投げしている状態です。これは同社に限らず新聞社の事業モデルといえますが、新聞社は輪転機で新聞を発刊し、それを各地区の販売店に買い取らせています。

 同社の原価率は概ね50〜70%とされておりますが、購入部数によって調整されます。販売店の“フランチャイズ”ビジネスですね。新聞社は、購読者の名簿をもっておらず、販売店の営業能力に委ねられているのです。

 発刊部数のピークは87万部で、「目指せ100万部」をスローガンに事業展開しておりました。しかし、その後は下降の一途をたどっております。

 発刊部数が70万部を切ると、経営面で苦境下に立たされるとされておりましたが、現況の発刊部数は朝刊約57万部、夕刊約5万6,000部で、70万部をきっています。経営は苦しいでしょう。

 当然、新聞業界の従来のビジネスモデルでは淘汰されることがわかっていました。そこで、新聞社のインフラを活用しながら、新たなビジネスモデルの構築・展開を積極的に実践することこそ、同社の進化・発展につながると確信していました。

 同社の代表含め経営陣や幹部クラスもそれは理解しており、同社OBも自らのアイデアや企画・構想を駆使しながら、新たな事業をデザインしつつ、スクラップアンドビルドを繰り返しました。私も次世代に続く、新たな収益事業を何としてもかたちにしようとの一心で、挑戦し続けた結果、結実した事業もあり、それは今も継続しております。

 A:しかし、せっかく新たな事業を構築しても、それを“よし”としない面々も存在するのですね。

 C:A先輩がおっしゃる通りで、従来の新聞業界に固執する勢力が存在したことも事実です。反目され、思い通りに事が運ばなかったことも多々ありました。そこで同社に対して限界を感じたのです。

 私は、本当に西日本新聞社が好きでした。同社が斜陽であるのは、誰が見てもわかります。諸先輩が築き上げた実績と歴史を後世に継いでいくためには、新たな収入源が必要なのです。

(つづく)
【河原 清明】

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