2024年12月22日( 日 )

西日本新聞よ!現実を直視せよ(4)─(株)西日本新聞社OB鼎談(ていだん)─

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 ――Cさんも、先輩2名と同様、使命感をもって、新たな事業構築に挑まれていたということですね

 C:その通りです。このままだと西日本新聞社は、消滅してしまうと思ったからです。だからこそ、命懸けで新たな収益を生み出すための事業を模索したのです。しかし、結局は、社を去ることになりました。

 同社が崩壊していく姿を見るのは、忍びないです。発刊部数が下落し続け、折り込みチラシの事業はもはや形骸化し、新聞という紙媒体ビジネスは終焉の時を迎えているのです。

 かつては700億円超の売上高(連結)だったのが、来期(2020年3月期)は、500億円を割り込んでしまうのではないでしょうか。経営陣は、見て見ぬ振りをして、自分が関わる時期さえ乗り越えられれば、「それで良い」と思っているのかもしれません。

 A:Cさんのおっしゃる通りで、いつまでも「紙」に固執していることが、西日本新聞社を追い詰めているのです。

 苦戦が強いられているのは、新聞社が信念とする「紙は不滅だ」とする経営体制そのものです。この「紙は不滅だ」という言葉は、近い将来「露」のように消えてしまうでしょう。

 後期高齢者の私でさえスマートフォンでニュースをチェックする時代です。若い世代、働き盛りの方々が、電車やバス内で新聞を開いていますか。宿泊施設でも売店でも売れていません。

 西日本新聞を含め、新聞の購読者は年々減少していますし、それは今後も続くと断言できます。その現実を今すぐに認めることです。新聞社の「紙は不滅」だという信条にいつまでも固執すると、会社がなくなってしまいます。

 B:お2人のいう通りです。一刻も早く体制を変えていくことが大切です。しかし、残念なことに今の西日本新聞社には、そうした風土がありません。つまり、組織を超えて事業をつくり上げるというマインドが、西日本新聞社の代表をはじめ、ほとんどの経営陣が持ち合わせていません。

 同社の歴代代表は、「自分が代表の時は、何事もなく波風立たず無事に終わること」を考える人がほとんどでした。いわゆるサラリーマン社長です。それは現在も変わらないでしょう。そうした考えを持ち続けている限り、同社は生き残れません。

 新聞業界は斜陽です。その現実から目を背けることは、逃げていることと同じです。しかし、それでは会社は成長しません。

 現況に一番近い時代を過ごされたCさんのお話を聞いていると、残念ながら同社は、現体制では限界状態だと分析しています。

 人材流出も問題です。聞くところによると、40歳前後の組織の中核をなすべき人材が、次々と抜けているそうです。また、同社への新卒の入社希望者が激減し、次世代を担う人材が不足している状態だということです。このままでは、同社に入社を希望する次世代の人材は、さらに減少し続けるでしょう。

 「紙」に固執していることで、どんどん後退しているというのが現実なのです。

(つづく)
【河原 清明】

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