2024年11月23日( 土 )

福岡県下2,200社の中小企業経営者の学びと成長を支援(前)

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(一社)福岡県中小企業家同友会

 経済が複雑化し、ITの普及によってスピード化が求められる時代になった今、さまざまな専門知識の習得や情報の収集、他社との連携がこれまで以上に必要になる。中小企業家同友会は、経営者同士が学び合い、実践し合うことを通して、会員と会員企業の成長を支援している。

左から、代表理事 新内 一秋 氏、代表理事 高谷 幸一 氏、代表理事 有田 栄公 氏
左から、代表理事 新内 一秋 氏、代表理事 高谷 幸一 氏、代表理事 有田 栄公 氏

考え方を共有し、学びと実践のサイクルによる成長を図る

 (一社)福岡県中小企業家同友会(以下、同友会)(代表理事:新内一秋氏、高谷幸一氏、有田栄公氏)は福岡県下、2,200名を超す中小企業の経営者、経営に携わる幹部などで構成される団体である。同友会は全国47都道府県に組織されており、各地同友会で構成する中小企業家同友会全国協議会(中同協)の総会員数は4万7,000名を超える。

 同友会は、「よい会社をつくろう、よい経営者になろう、よい経営環境をつくろう(3つの目的)」「自主・民主・連帯の精神」「国民や地域とともに歩む中小企業を目指す」という理念のもと、地域の発展に貢献できる企業となるために、中小企業経営者の成長を後押しする。

 経営者の生の経営体験報告から学び、その実践を通して成長すると考える同友会は、県内に21の支部を設置し支部例会で会員経営者の体験や知恵を共有し学び合う。また、専門性を追求する委員会を設け、経営課題の解決や学びを深める機会を設けている。

 現在、常設委員会として「経営労働委員会」「共同求人委員会」「共育委員会」「バリアフリー委員会」「企業連携推進委員会」「環境経営委員会」「女性部委員会」「国際交流委員会」「ソーシャルビジネス委員会」「同友会すばる委員会」と10の委員会が活動している。

 こうして、支部例会や委員会活動を通して学んだことを経営の現場に取り入れ、実践と改善を繰り返しながら自社のものとするわけだ。

 たとえば、同友会の看板の1つともいえる「あすなろ塾」「経営指針書作成セミナー」を開催し、会員企業が経営指針書、一般でいう経営計画書を作成できるよう支援する。経営計画書は航海における羅針盤にたとえられるように、経営の拠りどころとなるものだが中小企業の多くは経営計画書を作成していない。そのため、同友会では会員企業の経営指針書づくりに力を入れている(同友会では、経営理念、経営方針、10年ビジョン、経営計画の4つを合せて、経営指針と言っている)。

お互いを尊重し認め合う風土

 セミナーや勉強会の大半は、外部講師を招くのではなく会員が主体となって講師を務め、会員に教え合う。講師を職業としているわけではないので、皆が流ちょうに話すことはできないが、実際に経営している現役の経営者が自分の体験を通して語る生の話は何よりも貴重であるし、会員に響く。

 お互いの違いを認め合うことも重視している。「同友会では新しい会員が入ってくると、『辞書の新しいページが増えた』と言います。多様な考え方やモノの見方など、違いを認め尊重し合う文化がある」(新内一秋代表理事)。テーマや課題によって、ある時は講師、ある時は受講生となる同友会の学びの仕組みは、お互いを尊重し合い、認め合う風土をつくり上げるのだろう。会員同士に連帯感の強さを感じるのは、こうした風土によるものかもしれない。

 また、多数決を優先しないのも同友会の特徴であろう。一部の会員の意見に左右されるのではなく、全員一致を目指しとことん議論を尽くし、一致したことから始める。そして、決まったことには皆で力を合わせて取り組むという連帯の精神を大切にしている。

(つづく)
【宇野 秀史】

(後)

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