2024年11月23日( 土 )

被災者救出おざなりで内閣改造にうつつを抜かす

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は韓国に54年前の協定の文言死守を求めるなら、安倍内閣も村山談話の基本姿勢を維持すべきとした9月12日付の記事を紹介する。


 台風15号は9月9日午前5時頃に千葉県千葉市付近に上陸した。上陸時の中心気圧は960HPで、関東地方に上陸した台風として史上最強レベルの強さを維持していた。

 台風の暴風被害は台風進路の東側で大きくなる。台風15号が東京湾を通過して千葉市に上陸したため、針路の東側に位置する千葉県全体で暴風被害が広がった。

 最大の影響は広域で発生した停電被害である。台風上陸から丸3日半経過した12日午後6時半時点で、依然として停電の状況に置かれている世帯が30万世帯を超えている。

 停電が原因で水道の断水、ガソリンスタンドの閉鎖、固定電話の不通、携帯電話の利用不能などの事態が同時発生している。猛暑と重なり熱中症で死者まで発生している。さらに多くの学校が休校に追い込まれている。ライフラインが寸断されて生存の危機が発生している。病院や介護施設の窮状が懸念されている。

 内閣改造で祝杯を挙げているべき局面でない。

 暴風の影響で大量の倒木が発生していることが電気の復旧を妨げていると伝えられている。政府が陣頭指揮を執り、自衛隊を派遣するとともに、全国から電気復旧に向けての応援部隊を派遣するべき状況にある。

 メディアは韓国の法務大臣の人事について放送時間の大半を割いて報道するが、日本の内閣改造や自民党役員人事に対しては批判的検討を一切加えない。

 退任した原田環境相は福島原発の放射能汚染水を太平洋に放出する方針を示した。

 安倍首相は2013年9月8日にアルゼンチン・ブエノスアイレスで開かれたオリンピック招致演説で福島原発の汚染水について、「汚染水による影響は、福島第一原発の港湾内の0.3平方km範囲内で完全にブロックされている」と発言した。

 しかし、港湾と外海は遮蔽されているわけではない。当時においても、福島第一原発の貯水タンクからは毎日300トンもの高濃度汚染水が漏洩(ろうえい)していた。

 汚染水が地下水に到達していたことも明らかになっていた。東京電力は、2011年4月4日から10日にかけて、港湾内に1万393トンの放射能汚染水を意図的に放出したことも明らかにしている。

 また、東電は、1日で港湾内の海水の44%が港湾外の海水と交換されていることも明らかにしていたのだ。

 汚染水は港湾内の0.3平方kmで完全に閉じ込められているとした安倍首相発言は虚偽だった。当然のことながら、外洋で捕獲した魚類の安全性が問題になる。

 韓国政府は海洋汚染などの問題を背景に、福島など8県の水産物の禁輸措置を講じた。これに対して日本政府は韓国の措置がWTO協定に違反しているとしてWTOに提訴した。

 ところが、WTOの上級委員会は本年4月11日、韓国による福島など8県産の水産物輸入禁止措置を不当とした「一審」の紛争処理小委員会の判断を破棄。韓国の主張を認め、日本が敗訴した。

※続きは9月12日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「疑うべくもない歴史の事実を謙虚に受け止める」で。

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