2024年12月22日( 日 )

西日本新聞よ!現実を直視せよ(5)─(株)西日本新聞社OB鼎談(ていだん)─

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 ――単刀直入にうかがいます。西日本新聞社は、このままだと消滅しますか

 ABC:残念ながら、そうなるでしょう。

 ――では、西日本新聞社は生き残るために何をすればよろしいでしょうか

 A:現経営陣を一掃しなければならないことは、明白です。今の経営陣にはマネジメント能力がありません。そして、社内の自浄能力も残っていません。繰り返しますが、1日も早く抜本的に経営体制を変えることが必要です。

 B:同社を含め、地方紙が1つになって、大同合併することがベストでしょう。どの企業が連携していくかは未知数ですが、まずは数社が一緒になることです。

 そして、リーダー(経営者)は新聞業界の人間にこだわる必要はなく、他業界の方でも構いません。経営改革に長けた方々は、たくさんいらっしゃいます。これまでの慣習にとらわれることなく、覚悟と信念をもった改革を実行できるリーダーが現れれば、生き残る可能性があります。

 新聞は、すでにデジタルの時代です。同社は、その時流に乗り遅れています。新聞の役割は普遍的で、行政や企業に対するチェック機能が求められます。広告は「個告」の時代で、これまで以上に、いかにより近いターゲットに訴求できるかが必要となってきます。できることはまだまだあるのです。

 C:太宰府に保有していた不動産を西日本鉄道へ転売するなど、保有する不動産を次々と売却したこと。グループ会社の西広が博報堂の傘下に入ったこと。そして、同社の100%子会社だった西日本新聞旅行は業界大手の日本旅行へ株式の70%を譲渡し、事実上、日本旅行のグループになるなど、資産と事業を切り売りして「延命」しています。

 決算書上は、黒字ですが、本業である新聞販売がどうにもならない状態です。つまり、事業構築ができていないのです。

 最終的には天神本社、つまり西日本新聞会館の売却です。会館の土地保有は、50%で建物は100%同社です。現在中核テナントである博多大丸さんへのテナント料の交渉もできない、定期借地権など契約の更新もできていません。

 近い将来、同会館の土地も建物も売却し、自分たちが「店子」になるのではないでしょうか。そうなると末期ですね。そうならないように、現経営陣が退き、先輩方がおっしゃる通り、新たなリーダーで立て直し、新たな事業をつくり上げることです。

 A:今の代表(柴田建哉氏)のままでは、ますます窮地に陥ってしまうでしょう。

 B:その通りです。紙媒体に固執すれば、近いうちに破綻し、西日本新聞社の歴史にピリオドが打たれてしまいます。業界人にこだわることなく、他分野から経営リーダーを招いて、新たな体質をつくり上げていくしかありません。そして、報道機関として地方紙ができる価値創造を追求し、新たなメディアとして確立させていくことにすぐ着手することです。

 C:西日本新聞社は収益を生み出すということに関して、真剣に取り組めないと推察しています。報道、ジャーナリズムの組織として生き残るには、NPOに鞍替えすることがベストでしょう。

 現在のデジタルでのニュースや情報発信は猛烈なスピードで進化しています。西日本新聞社が、価値あるニュースや特集記事などをデジタルで実現させることは、極めて困難でしょう。なぜなら、それらを構築できる人材が不足しているからです。

 だからNPOとして、地元の情報を地道に報道していく団体として歩んでいくしかないのです。

 ――皆さんの熱い想いが西日本新聞社に伝わることを祈っています。

(了)
【河原 清明】

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