2024年12月24日( 火 )

中国経済新聞に学ぶ~中国の若者たち、なぜ結婚したくない

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 「結婚したくない、結婚は面倒くさい。家事を片付けて正月には親戚回りをして、子どもが生まれたら世話をしなければならない。子どもを産めば体型は壊れるし体の調子も低下する。考えるだけで暗い気持ちになる」。

 2019年の真の曲がり角は、貿易摩擦でもなければ、さまざまな紛争でもなく、若い人が結婚したがらないことだ。上のような見方は新時代の結婚・恋愛観を代表するものだ。

 婚姻率が11年ぶりの最低を更新七、7,700万人が1人で暮らす。人々はいっそのこと独身を選び、誰かと一緒に毎日を過ごそうとは思わなくなった。

 最近、女性の結婚願望が確かに徐々に低下している。1990年には30~35歳の女性未婚者が占める割合は0・6%だったのが、今は7%だ。30~40歳の女性未婚者の割合も0・3%から4%前後に増え、10倍以上増加した。

 伝統的結婚制度は女性に「やさしくない」ので、女性たちはついに「反撃に転じた」。第一に、伝統的な家族内の分担の下では、女性は働かなければならないだけでなく、家事をより多く引き受け、子どもを産み育てる義務がある。第二に、こうした分担のため、女性は陰に陽に職場で性差別を受けやすい。結婚して子どもを産むとキャリアに影響し、仕事を失うこともある。第三に、新しい婚姻法の財産分与の規定は女性に不利で、結婚後はどちらかの両親が出資して家を買い、その子どもの名義で登記する。

 一方だけの個人資産となり、分割はできない。そこで「養う」などと言う場合は誰が誰を養うのか。自分で稼げれば、稼いだ分を自分の手の中に納めることができ、それでこそ主導権を握れるようになる。

 男女の役割分担、高い家賃、高い育児コストが解決できなければ、女性たちが伝統に従わないのも責められない。例えば高い結納金、不動産の登記などは予防措置であり、女性は拝金主義と一方的に非難するわけにはいかない。

 経済の発達した省や市では、不動産価格が高くなるほど、婚姻率は低下する。データによれば、2018年に全国で最も婚姻率が低かったのは上海市で、わずか4.4%だった。後ろから2位は浙江省で5.9%。広東省、北京市、天津市なども低かった。その背後にある本当の変化は、女性が大都市で権利意識に目覚めたということだ。

 しばらく前、中国の出産育児に関する専門家の喬傑氏が、「25~28歳が妊娠に備えるのにもっとも適した年齢」との見方を打ち出した。これに対して、「おお!そうなの、この年齢を過ぎたら生まなくていいのね!そうそう、2017年の江蘇省の平均初婚年齢は34・2歳で、女性は34・3歳。いっそのこと出産はやめた方がいいよね」といったコメントが上がった。

 2人っ子政策が打ち出された後の17年には、人口は新たに1,723万人増えたが、逆に16年より63万人少なかった。これを受けて専門家は、「法定婚姻年齢を男性満20歳、女性満18歳に引き下げるべき」と提起した。しかし若い人は専門家に同意するだろうか。

 上海の女性に2人っ子について意識調査を行ったところ、80後(1980年代生まれ)と90後(1900年代生まれ)の回答は実に厳しいものだった。回答者のうち、出産経験のある人は4.8%、出産したいという人は3・3%で、出産したくないが56.4%、わからないが35.4%だった。ここから大都市の女性の多くが2人の子どもを産もうと考えていないことが容易に見て取れる。婚姻率が低く、出産率が低いことは、「低欲望社会」現象の1つと考えられている。この「ダブル低率」が出現したのはなぜか。恒大研究院の任沢平氏のチームは「中国出産報告2019年」の中で、「住宅、教育、医療などに直接かかるコストが出産を思いとどまらせる3大難関だ」との見方を示した。

 1つ目の難関の住宅について。04~17年に、収入に対する家賃の割合が17%から44%に増加した。出産育児の中心となる80後と90後が、ひと月数千元も一万元以上もする家賃の重さにあえいでいる。

 2つ目の難関の教育について。1997~2017年に、公立幼稚園に通う子どもの割合が95%から44%に低下した。また習い事ブーム、さまざまな教室通いが激しさを増し、多くの家庭はこの面で巨額の出費をしている。

3つ目の難関の医療について。95~17年に、個人の医療保険料は22.4倍に増加し、可処分所得の9.2倍増加を大きく上回った。一人っ子のカップルは上に4人の高齢者を抱え、下に1人の子どもを育てており、どれだけプレッシャーがかかるかは言うまでもない。

 さらに言えば、最終的に老後は子どもをあてに出来ないことが重要だ。

 社会学の見方では、1つの観念を理解するには、その観念を決定づける「社会的事実」の中で原因を探らなければならない。しかし否定できないのは、女性の意識が覚醒したことが、現在の恋愛結婚出産市場の最大の曲がり角を招いたということだ。


中国経済新聞を読もう

<連絡先>
■(株)アジア通信社
所在地:107-0052 東京都港区赤坂9-1-7
TEL:03-5413-7010
FAX:03-5413-0308
E-mail:china@asiahp.net
URL:http://china-keizai-shinbun.com

関連記事