2024年12月22日( 日 )

人材育成のカギは「風通しの良さ」右肩上がりの成長を続ける総合安全商社

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

安全機材・保安用品の販売、レンタルほか
(株)グリーンクロス

同社代表取締役社長 久保 孝二 氏
同社代表取締役社長 久保 孝二 氏

創業50周年の老舗

 (株)グリーンクロスは1969年1月に「交通標識製作所」として創業され、71年7月に法人化した。工事現場の安全用品などの販売・レンタル、看板・サインメディアの製作・販売を柱に総合安全商社として、今や業界トップクラスのシェアを誇るリーディングカンパニーに成長。2019年4月期連結決算は売上高154億5,090万円、経常利益12億4,451万円、当期利益7億8,214万円を計上した。営業基盤を西日本エリアから全国に拡大し、業績は右肩上がりの状況で、今期で10期連続の増収増益となった。

 同社の柱は安全用品の販売・リース事業と2つに分けられる。安全用品の販売・リース事業では、工事現場で使用される「ストロングコーン」や「工事看板」などの定番商品から「人型の安全バリケード」「まる見えコーン」まで多岐にわたる商品をとりそろえている。

注目商品の「まる見えコーン」
注目商品の「まる見えコーン」

 成長著しいレンタル需要のシェア拡大に向け、提案型営業の増強や回転率の引き上げなどにも注力している。また、看板・サイン事業では、子会社の(株)トレードが看板製作・施工のポータルサイト「キュービックシティ」を開設。「デジタルサイネージ掲示板」など、屋外広告物や各種ディスプレイ商品を取り扱っている。

働きやすさを追求

 近年では自社商品の開発に注力しており、部署や職種を問わず社内から広くアイデアを募集。現在までに、ご当地衣装の着せ替えができる「バリコレクション」や透明で設置したまま中身が確認できる「まる見えコーン」など、社員の遊び心や現場の声をかたちにしたヒット商品を生み出している。とくに「まる見えコーン」は東京オリンピックなどの大型イベント時のテロ対策として注目を集めている。

 単純に商品開発をする社員だけではきっと生み出されなかったであろう商品をかたちにすることができたのは、異なる部署の社員のさまざまな視点・ひらめきを取り入れることができる土壌があったからこそだ。風通しの良い社風は社員たちのモチベーションアップにつながっている。加えて、会社の利益を社員にしっかりと還元するところも同社の魅力だ。年2回の賞与、毎期の決算賞与、住宅手当制度、休暇制度などを充実させている。

 また、社内インフラの再構築や業務の分業化、生産性向上のための全社午後7時退社も徹底。企業理念である「仕事を通し社会に正しく貢献してゆく過程で、自己を創り、意義と価値のある人生を創ってゆく」を全社員で共有し、見事に実践している。

全国72拠点網構築を掲げる

2018年8月に開設した本社営業部
2018年8月に開設した本社営業部

 11年3月にグリーンクロスロジスティクス(佐賀県鳥栖市)を、14年2月には関東ロジスティクス(埼玉県久喜市)に開設し、15年9月にはトレードの子会社化など、M&Aや営業所・物流センターの拡充を行っている。そして、18年8月には本社営業部を福岡市東区多の津に移転。グリーンメディア事業部本部とトレード福岡営業所も集約した。さらに北関東に営業所を、中国四国、関西エリアに物流センターを開設する予定だ。

 全国72拠点網構築を掲げる同社は、18年5月に導入した新基幹システムを軸に、全営業拠点ネットワーク網を有効活用し、より専門性を生かした積極的提案営業活動を行うとしている。

 今後は従来市場である建設関連市場への深耕開拓はもとより、官公庁、学校、病院、一般企業など時代に沿ったあらゆるニーズに応えられる体制を目指す。顧客の「安全」に関わるさまざまな要望に社員1人ひとりが真摯に応えることが「企業使命」であり、あらゆる「安全対策」を提案し、社会に貢献することが同社の「存在価値」だ。その「企業使命」と「存在価値」は全国各地にまで手が届く目標へとなりつつある。

人が育ちやすい環境

 19年4月末時点で社員数は648名(連結)の大所帯となった同社。全国に続々と拠点を拡充しているのだが、人材面ではどうだろうか。多くの企業が人材不足で悩むなか、同社には高い提案力をもつ社員がそろっている。それは人材教育への投資を惜しまなかった創業者の故・青山明氏の姿勢が今も引き継がれているからだろう。注目したいのは人材が育ちやすい環境が整っていることだ。

 その1つに、業界トップレベルの営業ノウハウを体得できることが挙げられる。人材が育つまでには時間がかかるということを念頭に置き、一人前の営業に育てるため、新人研修や新商品の説明などを充実させている。どの年代にも満遍なく先輩社員がいることも強みだ。

 あまりに歳が離れていると萎縮してしまいがちだが、気軽に顧客との信頼関係の築き方や仕事のノウハウを聞けるのは新人にとってはありがたい。そのほかにも社員のスキルアップを応援するため、資格取得にも積極的だ。試験に合格すれば試験費用は全額会社で負担し、さらに昇給の対象にもなる。個人の頑張りがきちんと評価される体制が整っているからこそ、人材流出も少ない。勤続年数が10年以上の社員も多数いることから、社内環境や人材育成の良さがうかがえる。

年齢の近い社員が丁寧に教育

<COMPANY INFORMATION>
代 表:久保 孝二
所在地:福岡市中央区小笹5-22-34
設 立:1971年7月
資本金:6億9,726万円
TEL:092-521-6561
URL:http://green-cross.co.jp/contact/form_recruit/

25周年記念出版雑誌 『一樹百穫』 一覧

関連キーワード

関連記事