2024年12月23日( 月 )

名門ゴルフクラブの株主権確認訴訟~最終章

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 (株)ザ・クイーンズヒルゴルフ場の創業者・田原學氏が亡くなった後、同社の株式をめぐる裁判が行われている(関連記事:曖昧な株式管理が生んだ名門ゴルフクラブの経営権争い(前))。本件に関し、「町の法律好々爺」凡学一生氏が解説する。

 本件事件は12月20日に控訴審判決が下される。結論ははっきりしている。控訴棄却である。問題は被告会社(控訴会社)を牛耳り、操り人形として2名の取締役を意のままに自在に操縦してきた犯罪顧問弁護士・木下が上告することを拒否するだけの最後の抵抗をこの2名の取締役ができるか否かである。

 NetIBNewsにおける一連の記事を読んでいれば真実に気付き、無駄な出費と時間の浪費となる上告審を防ぐことができる。不幸にして木下の独善の上告を防ぐことができなくても、上告審の結論もはっきりしている。上告棄却である。

 本件事件はもともと通常どおり、第一審は単独裁判官による訴訟であった。しかし、途中から3名の裁判官が担当する合議制の裁判体となった。これは小規模会社の株主権確認訴訟としては極めて異例という他ない。これを推察するに、裁判所は木下の悪事の数々に気付き、原告勝訴の判決をせざるを得ないと決心した。しかし、前述のように、平成5年の1人会社の株式譲渡最高裁判例の事案とは本質的な差異があり、明かにレシオ・デシデンダイの射程距離を逸脱して新判例となる。それでも具体的な法的正義を実現するためにはこのレトリックしかなかった。

 第一審では原告は大幅に譲歩する和解案を被告会社にたいして提案した。これはある意味、被告会社の主張をそのまま認めた内容でもあった。しかし、木下は拒絶した。控訴審になって、木下と共同弁護人として訴訟遂行していた弁護士が、訴訟代理人を辞任した。これも極めて異例という他ない。木下は文字通り、四面楚歌となった。

 木下が潔く年貢を納めて今までの己の行動を恥じることを期待したい。

 いずれにせよ、勝訴した長男には大変な終戦処理が残っている。直ちに会社の経営を立て直さなければならないが、問題は木下に対する法務過誤を理由とする損害賠償請求訴訟と少なくとも弁護士懲戒請求が必要である。木下を刑事告訴したいくらいだろうが、告訴代理人を引き受ける弁護士は現在の日本にはまだ存在しないし、福岡県弁護士会、そして日弁連が適正な懲戒処分を出す保証はまったくない。その意味では犯罪弁護士・木下は依然として健在である。

 犯罪弁護士・木下は長年にわたり顧問弁護士として被告会社から報酬を得ていたが、少なくとも原告らの父が死亡した時点以降は受任弁護士としては善管注意義務に違反する債務不履行を続けたものであるから、報酬を受領する資格はなく、被告会社はその報酬の返還請求を求めることができる。それに今回の裁判費用も木下の自己保身のために余儀なく出捐したものであるから賠償請求できる。この程度の天罰は受けて然るべきである。

 長男は母の錯誤の主張を待って、400株を母に返還しなければならない。遺族全員で会社経営・株主とならなければ、長男には莫大な贈与税が課税される。まったく無意味である。

 本件は1人の悪徳弁護士によって、中小企業の一族が塗炭の苦しみを味わった、不幸な事件であったといえよう。

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