2024年11月24日( 日 )

九州地銀の2020年3月期 第2四半期(中間期)決算を検証する(5)

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【表1】を見ていただきたい。九州地銀(18行)の19年9月期(中間期)の預貸金残高推移表である。

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~この表から見えるもの~

(1)金融グループの預貸率順位表

・1位はふくおかFGで、92.1%(前年比2.7%増)

・2位は西日本FHで、85.6%(前年比1.3%増)

・3位は九州FGで、81.8%(前年比3.0%増)。増加率はトップで善戦しているのが目に付く。

 金融グループの19年9月期の貸出金残高は、前年比+3兆8,135億円の30兆4,661億円(14.3%増)。十八銀行がふくおかFGと経営統合し傘下行となったため、大幅に増加している。

・1位はふくおかFGで、前年比+3兆2,115億円の15兆8,837億円(25.3%増)

・2位は西日本FHで、前年比+2,135億円の7兆4,202億円(3.0%増)

・3位は九州FGで、前年比+3,885億円の7兆1,622億円(5.7%増)

 金融グループの19年9月期の預金残高は、前年比+3兆3,461億円の34兆6,753億円(10.7%増)。貸出金と同様の理由により、大幅に増加している。

・1位はふくおかFGで、前年比+3兆686億円の17兆2,534億円(21.6%増)

・2位は九州FGで、前年比+1,563億円の8兆7,540億円(1.8%増)

・3位は西日本FHで、前年比+1,212億円の8兆6,679億円(1.4%増)。

 貸出金はふくおかFG>西日本FH+九州FGで、1強2弱の体制となっている。

(2)九州地銀18行の預貸率順位表

 1位は熊本銀行で108.0%(前年比7.5%)と大幅に上昇。熊本銀行の20年9月期の貸出金は前年比+842億円の1兆5,507億円(前年比5.7%増)。預金は前年比▲233億円の1兆4,363億円(前年比▲1.6%)。どの銀行も同じだが、収益を上げるために預金よりも貸出金の増加に力を入れているのがわかる。

・2位は長崎銀行で前年比+1.8%の102.5%。

・3位は北九州銀行で、前年比▲1.2%の100.4%。いずれも、金融グループ傘下の3行が昨年と同様に100%を超えている。

・4位は福岡銀行で前年比+5.2%の97.1%。

・5位は鹿児島銀行で前年比+2.6%の87.4%。

・6位は西日本シティ銀行で前年比+1.2%の85.1%。西日本シティ銀行までの6行が80%を超えている。

・7位は宮崎銀行で前年比+1.7%の79.4%。

・8位は十八銀行で前年比+8.7%の78.8%。昨年7月、公取委はふくおかFGとの経営統合の承認条件は、合併予定の親和銀行とともに1,000億円の貸出債権を他行に譲渡することだった。今は必死に巻き返しを図っているのが読み取れる。

・9位は肥後銀行で前年比+3.5%の77.7%。鹿児島銀行より上昇率は上回っている。

・10位は親和銀行で前年比+2.7%の77.7%。

・11位は佐賀銀行で前年比+2.6%の77.0%。4位の福岡銀行から11位の佐賀銀行までの8行は第一地銀が占めている。

・12位は佐賀共栄銀行で前年比▲0.8%の76.9%。以下、福岡中央銀行が前年比▲0.1%の76.8%、豊和銀行が前年比▲1.2%の75.3%と、いずれも前年比マイナスとなっているのが目立つ。

・15位は宮崎太陽銀行で前年比+1.3%の75.1%。

・16位は南日本銀行で前年比+0.0%の74.9%。宮崎銀行から南日本銀行までの10行が70%台の預貸率となっている。

・17位は筑邦銀行で前年比+1.2%の69.5%。9月期の貸出金は前年比+105億円の4,922億円(2.2%増)。預金は前年比+31億円の7,081億円(0.4%増)。

・18位は大分銀行で前年比▲0.1%の61.1%。9月期の貸出金は前年比+111億円の1兆8,142億円(0.6%増)。預金は前年比+228億円の2兆9,680億円(0.8%増)。

 筑邦銀行と鹿児島銀行の2行が60%台の預貸率となっており、厳しい状況が続いている。

<まとめ>

 預貸率が100%を超えている北九州銀行を除いた預貸率が減少している銀行は佐賀共栄銀行、福岡中央銀行、豊和銀行、大分銀行の4行となっている。たかが預貸率と思われるかもしれないが、預貸率こそ、その銀行が将来生き残れるかどうかの目安なのではないだろうか。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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