2024年11月23日( 土 )

『脊振の自然に魅せられて』「脊振山系が日本山岳遺産に認定」

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 ワンゲル仲間や学生、早良区役所と脊振山系に道標を設置して10年が経過した。これまでクリーンアップ登山や山開きを開催し、脊振の自然に触れる機会を提供してきた。おかげで山でのゴミをほとんど見かけなくなった。

 今年7月、「こんな申請もありますよ」と環境省関係者から日本山岳遺産基金のチラシを手渡された。

 チラシには「日本山岳遺産基金では、次世代に伝えたい『豊かな自然環境』や『人と自然の関わり』があり、それらを守り、活用するような地元の活動が盛んな山や山岳エリアを『日本山岳遺産』として認定し、その地域で山岳環境保全・安全登山啓発などの活動を行う団体に一定額を助成しています」と書かれてある。募集期間は8月31日まで。

 募集期間まで余裕がある。日本山岳遺産の申請をしようと思い、早良区役所に申し出た。「脊振の自然を愛する会」の発足日、規約、活動内容、必要な事項を記入し、助成対象となる活動費の用途はレスキューポイントの設置とした。

 申請とともに募集項目を書き込み区役所に提出。区役所課内で文章などを吟味してもらった後、公印を捺印してもらい、日本山岳遺産事務局に提出した。

<2019年度日本山岳遺産認定地>
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 日本山岳遺産のホームページを検索すると九州ではすでに2カ所が認定されていた。福岡県の古処山、馬見山からなる嘉穂アルプス、熊本と宮崎の県境の五家荘エリアの2カ所である。それぞれが簡易避難小屋の設置、道標や登山道整備費用の援助を受けている。

 今年の春、五家荘にヤマシャクヤクの鑑賞に行った時にレスキューポイントの表示を目にした。これを見て「脊振山系にもレスキューポイントの表示をすべきだ」と閃いた。

 今やインターネットで誰でも山の情報を得られるようになり、簡単に山へ行けると思っている人が増えてきている。脊振山系でも年に何度かヘリによる救助活動があると聞いている。「安易な登山による道迷い」「遅い時間に登山を開始し、日が暮れて下山道がわからなくなった」「滑落による怪我」などが主な原因である。

 脊振の自然を愛する会は2017年〜2018年の2年間で、小型道標を各登山道に90本近く設置した。それでも怪我や事故は起こり得るだろう。また、山岳保険などに加入していない登山者が多いものと思われ、怪我や事故を起こす登山者に限って、無保険の人が多い印象がある。

 登山をするには地図とコンパス、防寒具、水などの基本的な装備が必要である。スマホに地図を確認する機能はあるが、電池切れの可能性もあるので最低限、地図とコンパスは携帯すべきだと思う。

 救助隊が出れば捜索費用を請求されることも知っておいてもらいたい。また、ヘリによる救助を有料化する自治体も出てきている。山や自然への感謝の気持ちをもって登山を楽しんで欲しい。

 11月6日、パソコンのメールに「2019年度日本山岳遺産認定」の通知が届いた。「環境省:令和元年自然歩道関係功労者表彰」受賞の翌日である。

 今年は朗報続きの「脊振の自然を愛する会」となった。現在は、早良区役所、福岡市消防局航空隊などの関係者とレスキューポイント設置に関する準備を進めている。

 9月下旬、三重県四日市に住む小学校4年生の孫娘の運動会を見学するために新幹線で名古屋まで移動した。そのついでに名古屋から新幹線で1駅の岐阜県豊橋市まで足を伸ばし、レスキューポイントの公表をしている豊橋市消防本部中消防署を訪ねてレクチャーを受けてきた。また、レスキューポイントを設置した五家荘山岳救助プロジェクトに電話をして教えをいただいたりもしている。試行錯誤中だが、安全登山への祈りを込め、奮闘努力中である。

2019年11月28日
脊振の自然を愛する会
代表 池田 友行

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