出資を断り続けたヤマダは、なぜ大塚家具を子会社にするのか~ニトリとの全面戦争が勃発か!(中)
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山田氏は「情の人」って本当?
ヤマダ電機はなぜ、今になって大塚家具の子会社化を決めたのか。ヤマダは2018年半ばにも大塚家具から出資を打診されたが、その際には拒否し、今年2月の業務提携にとどめていた。
大塚家具の業績は見るも無惨というほかはない。2019年1~9月期決算の売上高は210億円(前期比23%減)、営業利益は29億円の赤字だった。1~9月期でみると営業赤字は5期連続となる。11月の既存店の売上高は前期比25.5%減。転落に歯止めがかからない。破綻は時間の問題であった。
思わず、のけぞりそうな説が目に止まった。日本経済新聞電子版(12月12日付)の『ヤマダの「情」、大塚の「家紋」の呪縛を解放するか』という解説記事だ。
ヤマダ電機創業者の山田昇会長にとって、大塚久美子社長は特別な存在と思われる。山田会長には久美子氏よりも数歳年下の娘(山田直美さん)がいたが、2002年12月にヤマダ電機本社近くの路上で自動車事故に遭い、亡くなった。享年26。ヤマダ電機創業の3年目に生まれ、両親の働きぶりをつぶさに見てきた直美さんは入社当時(2000年)から、山田昇氏の後継者の1人と目されていた。そのショックはいかばかりか。
そんな山田会長にとって亡くなった娘と同世代の大塚社長のここ数年の動静に心を痛めていても不思議ではない。今回の子会社化は経済合理性というよりも山田会長から大塚社長への「情」が優先したのではないだろうか
令和の人情譚。経済専門紙で、美談仕立ての救済劇を読まされた読者はあっけにとられたことだろう。山田氏が「情」の人とは、はじめて知った。
12月12日、ヤマダは大塚家具を子会社化する記者会見を開いた。その会見を報じる記事を読むと、山田会長の発言に「情」はない。「大塚家具の商品は粗利が高く、売上を少し伸ばせば黒字を達成できる」と語っている。さらに第三者割当増資で引き受けた43億7,400万円を「3年ぐらいで回収できる」と言明した。
これを読み解けば、久美子氏の経営手腕がいかにお粗末なものかと「経営者失格」の烙印を押した会見だったといえる。
(つづく)
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