東峰村3億円公募事業に疑義 判明した不自然な採点結果(中)
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福岡県東峰村は廃校となった小学校跡地を有効活用するため、今年3月から民間事業者を選定するための公募を行っていた。村が用意したのは、改修工事や設備設置費用として、「破格」の上限3億円。最終審査では、応募者による公開プレゼンを選定委員が採点し、今年7月に優先交渉権者が公表された。
現在、コンペを勝ち抜いた事業者と村は建設工事着工のため、協議を進めているが、今回判明したのは選定委員による不自然な採点結果。意図的に特定の応募者を低く採点したとしか思えない結果に、関係者からは「不自然であり、公平公正とはいえない。応募者を馬鹿にしている」との声が挙がっている。
「何を根拠に選定されたのか」――村に公募の結果に関する文書の請求を行い、ようやく入手したものが上掲の採点表だ。村は、データ・マックスが行った採点結果についての開示請求に対し、当初は「不開示」として、1位と2位の事業者名以外を一切明かさなかった。取材班はこれを不服として、福岡県や福岡市などほかの自治体の開示事例を交えて、再度開示を要求。村は福岡県に対応を相談するなどして、ようやく開示されたという経緯がある。
そもそも募集要項の記述にもほかの自治体では考えられない記載が残っている。審査と評価方法を記載したページがある。そのなかで、「二次審査での選定委員の評価は非公開」という旨の説明がある。このルールに従って、村は1位と2位の事業者名のみを公表したとみられる。また結果の公表について、「評価や結果についての異議申し立ては受け付けない」としている。このため、落選者は納得のいかない結果発表に対しても、「何もいえなかった」と話している。
落選した1社は、「公開プレゼンテーションでの採点詳細など、書面またはホームページ上で掲載してもらいたかった」と村の対応に不満を示していた。やはり当事者としては、自身の採点結果を知る権利があり、落選であっても納得したうえで、公募を終えたかったのだ。事業者としては当然の思いである。
一枚の採点表に思わず手が止まった
筆者はこれまで複数の自治体に入札結果などの詳細を示す文書を開示請求してきたこともあり、今回求める情報も開示されるべきものであると確信をもっていた。そのため村に対し今回の公募における全事業者の得点、および選定委員が記入した採点の個票を開示するよう求めた。
しかし、村に呼び出された挙げ句、実際に開示されたのは、ホームページに公開しているものだけであった。請求したものは一切出て来ず、村の言い分を聞けば、「募集要項に説明している」として、評価の開示を拒否したのである。この村の態度を不服として、ほかの自治体の開示状況を示したうえで、再度検討してもらい、ようやく開示されたものの、なかに含まれていたのが、冒頭で示した疑義のある採点表であった。
点数を集計した合計点を示す表だけでは、不審な点は見当たらなかったが、個票を一枚一枚見ていった。そして手が止まった24項目中23項目が「劣」という評価。ほかに数十枚もある採点表と見比べても、明らかに不自然である。選定委員は8名。それぞれが4事業者のプレゼンを聞いて、採点しているのだが、当該事業者を高評価する委員もいる。そもそも事業者によって、提案には強みと弱みがあるのが当然で、高評価される点とそうではない点で、ばらつきがあるのが普通。ある選定委員により、意図的に低く採点されたと疑わざるを得ない状況だ。
(つづく)
【東城 洋平】▼関連リンク
・旧小石原小学校跡地利活用に係る事業者募集の選考結果について関連記事
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