2024年11月23日( 土 )

【2020年 年頭所感】傷つき、沈没寸前の「地球丸」 社会貢献事業で人類の危機を救おう(1)

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(株)データ・マックス 代表取締役社長 児玉 直

 ユヴァル・ノア・ハラリ氏の『サピエンス全史-文明の構造と人類の幸福』『ホモ・デウス-テクノロジーとサピエンスの未来』が全世界で快調に売れている。「ホモ・サピエンスの過去の歴史を振り返り人間は神を超えた=ホモ・デウスの未来はどうなるのか」という壮大な構想が背景にあるため、誰でも注目して読破したくなるはずだ。一定の知的水準にある方々にとって、「人類・地球の行く末はどうなるのか」というテーマはやはり重大な関心事なのだ。

■地球滅亡の危機~油断すれば人類は滅亡

 ユヴァル・ノア・ハラリ氏は『サピエンス全史』で、ホモ・サピエンスが世界を制覇したのは「たまたま」(必然性はない)と論じる。ネアンデルタール人などの競合同種も同時代に生きていたが、彼らを圧倒した勝因として、(1)狩猟道具の進化、(2)集団性、(3)さらには農耕技術の進化などが挙げられているが、結局は「たまたまであった」と指摘する。

 加えること、『ホモ・デウス』では人類にとって最悪の敵であり続けた飢餓と厄病、戦争を克服しつつある。ここに至り人類は世界(地球)に神として君臨するところまでこぎ着けたのだ。今後、不死と幸福、神性の獲得を目標として人類はアップグレードする。その原動力は生物工学、情報工学などのテクノロジーである。この技術力は激変進化して『ホモ・デウス』を超える存在を産む可能性がある。ユヴァル・ノア・ハラリ氏は「油断すれば敵対する可能性すらある」と結ぶ。

■尻を拭けない人間たち

 地球温暖化が人類共通の立ち向かうべき課題となって長くたつが、これだけ異常気象が増え、明らかに人類の存在が危うくなっているのにもかかわらず「CO2増大が主要な原因ではない」と反論する学者たちがいる。確かにその原因は太陽活動の活発化にあるかもしれない。しかし、我々が享受してきた現代生活の在り方自体が地球環境の異変を招いているのも間違いない事実だ。分解されないプラスチックごみが海洋汚染の原因となり、海洋生物の生態系までも侵し始めている。技術革新によって分解可能なプラスチックの開発に成功したものの、一般的に使われるようになるのはまだまだ先の話だ。

 「CO2削減」は大国のエゴが立ちはだかるため容易に前進できないが、再生エネルギーへの転換は加速度的に進んでいる。だが時間が残されていない。人間=ホモ・サピエンスたちが現在の生活をそのまま続けることは、地球滅亡への道をひた走ることにつながる。誰しも飯を食べれば排せつ物を出す。出した後は尻を拭くべきだが、現代人は豊かな生活の代償として発生するCO2の処理を放置する始末だ。加えて営利行為も野放しが許されない事態にまで悪化している。

 ただ「儲かることは自由」(新自由主義)という価値観がまかり通らなくなっているのだ。今後は、「宇宙船『地球丸』を毀損させるビジネスは許さない」という価値観が広がり、一定の支持を得ていくことは間違いない。

■日本人急減は「種の防衛」か

 厚生労働省が毎年出している数字を見ると、驚くべき事実がわかる。まさに「日本人」自体が存亡の危機にさらされているといってもいい。

 2017年の日本の出生数は94万6,060人で過去最低、2018年はさらに減って91万8,397人と、2年連続して過去最低を更新した。死亡数は2017年が134万4,000人、2018年が136万9,000人で、2018年の人口動態統計では死亡数から出生数を引いた自然減が44万4,085人と、初めて40万人を超えている。

 この40万人という数字、我が故郷である宮崎県の県庁所在地・宮崎市の人口とほぼ同じ、いやすでにそれを超えているという事実に、改めて愕然とした。つまり毎年のように宮崎市が消滅することを意味し、今後日本の人口は坂道を転げ落ちるように急激に減少していくのだ。

 2019年の出生数は90万人を割り、86万人へと急減した。そうすると昨年の人口自然減数はおそらく50万人に迫ることになるだろう。恥ずかしながら、「出生数が90万人を割ることはないだろう」と、これまでは楽観的な見通しを立てていたが、見通しの甘さを思い知らされることになった。

(つづく)

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