管理栄養士、セラピストが未病ケアをサポート(後)
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検査結果から何を読み取るか
企業への健康支援事業ではいくつか実践的なセミナーなどを開いて、検査の仕組み、検査でわかること、検査結果から何を理解することが大切なのか、なども伝えている。協会顧問の上馬塲和夫医師(ハリウッド大学院大学教授)は、「血液検査の数値が基準値内であっても、ASTやALT値が低いとたんぱく質またはビタミンB6の不足、ALP値が低いレベルにあると亜鉛やマグネシウムが不足している可能性があり、それが不定愁訴やうつ病の原因になる場合がある。血糖値も空腹時より、食後2時間後に数値が下がっているかを見ることが大事。糖尿病になりやすいかの判断に役立つなど、受け取った健康診断の数値から多くの可能性が読み取れる」と話す。
協会では、企業からの委託業務として郵送検査も行っている。自分の口腔内の粘膜や唾液を郵送すると、生活習慣病の発症リスクを予測する遺伝子検査、自分の便や尿を簡易キットで採取して送ると腸内環境(細菌叢)の状態がわかる検査がある。遺伝子検査では自分のもって生まれた体質やなりやすい病気がわかるので、通常の健康診断でそれに関わる数値に気を付けておくことができる。
腸内細菌検査では、菌叢バランスによって日頃から食物繊維や発酵食品を積極的に食べたり、軽い運動を継続したりするなど、生活を見直すきっかけができる。協会では、「検査の結果が悪くてもネガティブに捉えず、あくまで自分の健康状態と向き合い、健康づくりを行うための入口として捉えてほしい」という。
テキストを制作し未病リテラシー向上
検査サービスのほかにも、企業の従業員に「未病」を認知し、理解を深めてもらうための教材として、「未病プランナー基礎編テキスト」を制作している。内容は、健康寿命や未病の定義、検査の重要性、個々の体質に合わせた食事・運動・休養・メンタルケアの仕方を紹介。未病ケアの方法では、科学的根拠があるものから東洋医学、伝統医学の経験則的な対策まで幅広く網羅している。
テキストを制作した狙いについて協会では、「病気の一歩手前の未病については、その概念や対策を理解している人は少ないのが実態。未病リテラシーを向上させるために一般の人にも未病を理解してもらう、基礎的なテキストを作成した」と話す。
テキストは、一般人でも理解しやすい基礎編ということもあり、日常生活に即した内容が随所に見られる。「伝統医学」の章では、インドや中国の医学や生活改善法を紹介。それぞれの国で長きにわたって受け継がれてきた経験と智恵、症例などを解説。また、自分でできるツボの押圧、デトックス法、ヨーガなども紹介している。テキストを学ぶ人は、順序立てて読まずに、興味をもった部分から読んでいくことができる。
たとえば、「食」のところでは、陰陽による状態や季節に合わせた摂り方、和食がいかに栄養バランスのとれた献立になっているか、忙しく調理に時間をかけられない時に、加工食品やインスタント食品に一工夫加えることでバランスを保つ方法、さらにはコンビニ弁当の選び方なども解説してある。
(了)
【吉村 敏】
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