離職率5%以下実現を目指す「心が折れない」職場づくり(後)
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(株)メンタルヘルステクノロジーズ
認知されていないメンタルヘルスケア
メンタルヘルステクノロジーズでは、子会社のAvenirを通じて産業医や保健師などの専門家による相談体制の構築のほか、専門医によるメール相談や電話相談などを通して、企業の休職離職率改善に取り組んでいる。「職場の離職状況は、心のケアに取り組み始めてもすぐに変わるものではないため、改善の効果が出るまで数年以上取り組むことが必要」と刀禰氏はいう。
健康で働きやすい職場づくりを軸にして、心のケアができる体制を整えることがポイントになるが、企業としては予算の関係などもある。そのため、短期間で大きく変えるよりも少しずつ取り組む企業が多いのが実情だ。
「経営者は精神的に強い人が多いが、ストレスがあっても平常心でいられるかは人によってさまざま。強いストレスがあっても平気な人もいれば、少しのストレスでも気持ちが落ち着かず、パニックになってしまう人もいる。自分とは心のもちようが違う人もいて、ストレスの捉え方が人によって大きく異なるということを、経営者が理解すると、従業員の心のケアをする体制をつくるうえで大きな成果が出やすい」と刀禰氏は話す。
組織のメンタルヘルスケアは、システム開発など、IT業界でとくに取り組んでいる企業が多い。一方では、全業界で見ると、組織のメンタルヘルスケアに取り組んでいる企業はまだ一部だ。刀禰氏は「これから少しずつ広まっていき、組織のメンタルヘルスケアの取り組みが広く認知されるようになるには、あと5~10年くらいかかるのではないか」と見ている。
また、「心が折れる」など精神面でのストレスが原因で休職する人がいる場合には、復職するときの体制をつくることも必要だ。要件を決めていなければ、休職者が復職するときに労働条件の行き違いで裁判になることもあるという。
週1回マネージャーと面談、相談しやすい環境づくり
健康経営として、社員が働きやすい職場づくりに取り組んでいるメンタルヘルステクノロジーズの離職率は、3年平均で5%を切っているという。グループ全体の従業員数は約70名だ。なかでも刀禰氏が重視しているのは、従業員が心の相談をしやすい環境づくりだ。自社サービスの産業医健康相談や保健師など専門家への電話相談を利用し、週1回のペースで全従業員が各部門のマネージャーと「1on1面談」を行っている。
1on1は社員自身が目標や課題と向き合い、対策を練れる指定フォーマットを事前に記入し、マネージャーと面談を行う。初回は1時間程度を要するが、3回目以降は、「最近どう?」から始まり、困っていることや悩んでいることを相談しやすい環境づくりを構築している。
1人ひとりの状況をマネージャーが理解すると、従業員の心のもちようも崩れにくいという。ホワイトカラーの職場では、できるだけ人と人が話す時間をつくることでお互いの状態がわかる。そうするとコミュニケーションが取りやすくなり、パフォーマンスも上がり、メンタルヘルスの予防にもなる。
刀禰氏は「働き方改革とは言っても、ただ労働時間を減らすことだけを目的にするよりも、仕事をしやすい職場づくりをして初めて、働き方が本当に良くなり、企業としての生産性も上がる。できるだけ多くの企業で、自社と同じように組織のメンタルヘルスケア体制やその先にある健康経営を実現できるようにサポートしていきたい」と話している。
(了)
【石井 ゆかり】<COMPANY INFORMATION>
代 表:刀禰 真之介
所在地:東京都港区赤坂3-16-11東海赤坂ビル4F
設 立:2011年3月
資本金:2億9,572万円関連記事
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