2024年12月22日( 日 )

武漢市ってどんなところ? 三国志の舞台 桜の名所

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中国中部地域随一の大都市・武漢

武漢市のシンボル 黄鶴楼
武漢市のシンボル 黄鶴楼

 新型コロナウイルスの発生地・武漢市。同市の日本での知名度はこれまで高かったとはいえず、中国ビジネスを行っている諸氏には知られているという程度であろう。

 武漢は人口1,100万人を有する中部地域最大の都市であり、同地域の経済・産業の中心地である。中国の地図を見ると、武漢は北の北京、東の上海、南の広州、西の成都のほぼ真ん中に位置しており、高速鉄道網が整備された今日、ビジネス拠点としての利便性が高まっている。中国政府の発展戦略においても武漢は重要視されており、沿海部と内陸部の格差縮小のための「中部崛起」計画(2006年~)、長江沿岸地域の開発の連動のための「長江経済ベルト」(2015年~)においてそれぞれ中心的な役割が期待されている。

三国時代、魏呉対峙の前線

武漢の位置
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 武漢の知名度が日本でそれほど高くないのには歴史的な事情がある。この地域は交通の要衝であることから、商業の中心地となり、漢口、武昌、漢陽という3つの街が発達したが、長江、漢江という大河が横たわり、一般住民の往来は不便であった。この3地域が合併されて武漢と命名されたのは約90年前の1926年である。

 武漢は歴史的に大きな役割をはたした地域である。1858年、アロー戦争期に締結された天津条約で漢口が開港され、日本も租界を設置しており、1911年には辛亥革命の幕開けとなった武昌起義が発生している。同市で最も有名な名勝地である黄鶴楼は、三国時代に呉の孫権が魏の曹丕と対峙するなかで軍事上の物見櫓として武昌に建設したものであり、この地が古来より重要な地域であったことがうかがえよう。

桜の名所・武漢大学

武漢大学の桜
武漢大学の桜

 武漢には中国有数の桜の名所である武漢大学(国家重点大学)がある。中国でも日本の桜は人気があり、春の開花期には大勢の人が同大学に行き桜を愛でる。

 武漢市政府は23日より人の市外への出入りを封鎖しており、住民は外出時にはマスクをし、不要な外出を控える生活を強いられている。遅くとも桜が開花する3月後半には、人々が自由な生活を送り、花見を楽しめる状況になっていることを切に望みたい。

【茅野 雅弘】

【武漢市基礎情報】

湖北省省都、副省級都市(中国全土で15都市、政令指定都市のように市よりも強い権限を与えられている)

●面積:8,569㎢
●人口:1,108万1,000人
●GDP:1兆4,877億2,900万元(前年比8.0%増)

 約23兆8,036億6,400万円(1元16円で計算)

●1人あたりGDP:13万4,259元

*各数字の出典は「2018年武漢市経済・社会発展統計公報」(武漢市統計局、2019年3月)

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