2024年11月22日( 金 )

新型コロナウイルスに関する横並びの中国国内報道

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コロナウイルスでも「統制」

 共産党一党独裁の中国において、報道の自由の度合いは低い。すべてのニュースメディアは政府(事実上共産党)の監督下にあり、とくに新聞は党員または読者に党・中国政府の考え、政策を通知するという役割をもたされており、記事の編集、掲載において介入を受ける。もちろん、中には調査報道に優れたいくつかの新聞もあり、住民の知りたいニーズを汲み取った記事を書いている。

 ほかの特徴としては、政府系メディアは悪いことをあまり伝えないと住民から思われていて信頼性が低く、Weibo(微博、中国版Twitter)、WeChat(微信)などSNS上でニュースを見て、最新情報をチェックしているということにある。ただ、これらにはきちんと検証されていない不確かな情報も多い。

 SNS上のニュースについては、改めて整理したうえで紹介したいが、先に伝統的メディアである新聞報道を見てみる。下記は27日のいくつかの紙面(電子版)の一面トップ記事をまとめたものである。

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各紙が同じ国営通信社の記事を掲載

 共産党の機関紙、大衆紙に近い位置づけの都市報を3つずつ取り上げた。「新京報」「北京青年報」「南方都市報」「南方日報」は、いずれも中国国内において比較的自由な雰囲気のもと調査報道を行ってきたメディアである。

1月27日付「新京報」
1月27日付「南方都市報」
1月27日付「北京青年報」

 しかし、見ての通り異なる地域の3つの都市報はほぼ同じタイトルであり、実際、記事内容は同じ新華社(中国国営通信社)記事をリソースとし、内容も同じである。中国当局は、大事件については新華社の記事を用いるよう各メディアに指導しているとされる。各メディアに委ねられた裁量は、新華社の記事をどの面に配置するか、タイトル名称の調整、字数の調整程度である。実際のところ、新型コロナウイルスに関しては、それ以外の記事に関しても、どの新聞も同じように新華社記事を掲載している状況である。

 上記のようにパッと見たところ各紙の違いが少なく、面白みもない。多くの人がSNSのニュースが玉石混交と知りながらもそちらをチェックし、シェアするのも頷ける。

【茅野 雅弘】

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