漢方薬が新型コロナウイルス抑制に効果あり?マスクに続いて品薄状態に
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1月31日夜、中国で「双黄連内服液」(中国語表記名:双黄連口服液)という漢方薬に新型コロナウイルスの抑制効果があるという情報が流れた。中国科学院(政府直属シンクタンク)上海薬物研究所および同院武漢ウイルス研究所が発見した。
この「双黄連内服液」はスイカズラ(金銀花または忍冬)などの生薬を配合してつくられる。中国でよく服用される風邪薬の1つとされ、記者も中国で服用したことがあるが、味は苦くていかにも漢方という印象を抱いたことを思い出した。
情報の発信源が中国国営通信社の新華社のSNSであり、それを共産党機関紙「人民日報」のSNSが転載したため、信憑性が高いと思われたようだ。中国メディアおよび現地情報によると、31日の夜にもかかわらず薬局には長い行列ができ、翌2月1日にはどの店でも売り切れていたという。現在、薬局の従業員は客から「マスクはまだありますか?」に続けて「双黄連内服液はまだありますか?」と聞かれている状態のようだ。
政府はその事態を見て、2日に「人民日報」のSNSにおいて、新型コロナウイルスを予防、治療するのに有効な薬はまだなく、双黄連内服液がどのように効能を発揮するかについては多くの実験を必要としていると書き、鎮静化を図っている。また、漢方薬は自身で服用せず医師の言いつけに従うべきと注意を促している。
このようにその効能はまだ科学的に実証されていない段階であり、四川省の友人は「本当に効果があるかわからないので、買っていない。デマのようなものではないか」「中国人はもっと自分で判断し、自己抑制すべきだ」と批判的に話す。
中国では2011年の東日本大震災の際にも似た事態が発生している。福島原発から漏れた放射能による被曝を防ぐのに食塩に含まれるヨウ素が有効であるとの情報が中国で広まり、人々による食塩の買いだめおよび食塩価格の高騰を招いた。
この「双黄連内服液」に含まれる主な生薬はスイカズラのほか、オウゴン(黄芩)、レンギョウ(連翹)であり、日本でも中国人による関連商品の大量購入や新商品開発が行われるかもしれない。
【茅野 雅弘】
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