新型コロナウイルスの急速な拡大と韓国経済への影響(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、緊急事態宣言をしているが、その後も新型コロナウイルスの患者は増加の一途をたどっている。8日現在、韓国のコロナウイルスの患者数は24名となり、韓国の保険当局は緊張を募らせている。
コロナウイルス発生地である中国では感染症による死亡者が811名となり、患者数は3万7,189名にのぼると中国政府により発表されている(8日現在)。中国湖北省では連日、1日の死亡者数が80名にのぼるなど、その後も死亡者が増えたことにより、死亡者が800名を超えるようになった。しかし、一部では、実際は10万人以上の患者が存在しているという説もある。どちらが正しいかは正確に把握できていない。
新型コロナウイルスは中国だけでなく、米国、ヨーロッパ、豪州など世界中に急速に広がっている。そうなった原因として、新型コロナウイルスは菌の潜伏期間が長いことが挙げられている。2週間を経たないと、熱などの症状が発生しないため、検疫が難しいからだ。
中国当局がこの感染症の発生を初めて報告したのは、昨年12月31日のことである。発生地は中国中部の武漢。武漢は人口1,100万を擁する中国中部の交通の要所で、車の部品、ハイテクでも有名な場所だ。
武漢には「華南海鮮市場」という市場がある。同市場では海産物以外に、野生動物が取引されていたという。動物由来のウイルスが人間にうつり、重篤な病気を引き起こすケースはそれほど多くない。しかし、ウイルスは、拡散して増殖するうちに変異を起こし、それが結果的に動物から動物へ、その後、動物から人に感染する場合がある。動物間での感染症が変異を起こし、人にうつるようになり、現在は人から人への感染が確認されている。今回、武漢の海鮮市場が注目されるようになったのは、そのような背景があるからだ。
今回の感染症は、韓国経済にどのような影響を与えているだろうか。花粉症対策などのために多くの日本人がマスクをしているのを、かつて韓国人は異様な光景だと思っていた。しかし今、韓国ではどこに行っても、みながマスクをつけている。
みんなが人の集まる場所を避けているため、映画館、大型レストランなどは、閑散としている。この状況が続けば、国の経済に悪影響が出ることはもちろん、とくに、庶民の経済が大きなダメージを受けると懸念されている。
中国は世界2位の経済大国で、世界経済の3分の1を担っている。また、中国人は観光業界にとって最大の顧客であり、スマホの最大消費国でもある。そんな中国は、新型肺炎拡散を防ぐため、海外への団体旅行などを当面の間、中止している。
韓国の場合、輸出の25%は中国向けで、観光客の34%は、中国人で占められている。すなわち、中国は韓国の最大の貿易相手国だ。ところが、今回の新型肺炎で人から人への感染が確認されると、中国政府は発生地である武漢をまず閉鎖し、中国人の海外旅行を制限するに至った。中国政府が中国人の海外旅行禁止を発表してから1週間後には韓国への中国人入国者数は30%も急減した。それだけではない。韓国のさまざまな業界に、中国の感染症の影響が出始めている。
(つづく)
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