2024年11月22日( 金 )

山本太郎ツアー第1弾最終日、地方での戦い方や「B.I」など語る~大垣

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 れいわ新選組の山本太郎代表が9日、岐阜県大垣市内で市民との対話集会を開き、今年の全国ツアー第1弾を終えた。参加者からの質問に答え、地方での今後の戦い方やベーシックインカム(B.I)などについて考えを述べた。

 集会は「おしゃべり会」と題し、会場の大垣ソフトピアジャパンセンターには近隣から市民約380人が集まった。約2時間40分にわたり、山本氏が参加者からの質問や意見に対して考えを述べた。

 筆者が今回の中国・四国地方を中心とした全国ツアー第1弾を振り返っての感想をただした。山本氏は「今回で47都道府県にごあいさつに行った状態。さらに2周目に入っていく」と述べ、ツアーを続ける考えを示した。

挙手を求める山本太郎氏

 「各地で数々のご意見、多くの方々から悲鳴を直接ぶつけられた。この声を受け、私たちの掲げる政策にどう深みを与えていけるか、足りない部分は何かについて1つ1つ掘り下げ、アップツーデイトしていく必要がある」と課題を挙げる一方、「私たちの掲げる政策がベースとして間違いないという確信をもった」と意を新たにした。

 一般参加者の男性が、地方議員を確保する必要を訴えるとともに、我が国の障害者施策の良い点と問題点について見解をただした。

 山本氏は「地方議員にれいわの看板を背負わせるのは、地方政治にもう1つしがらみをつくることになる」と地方議員の擁立を否定。「国政政党の下部組織でなく、地域政党的な動きがあれば」と述べ、市民の側に立つ内容を是々非々で判断できる無所属の方々とつながり、選挙時に応援してもらえる関係をつくりたいとの意向を示した。

 そのうえで、「1人ひとりが主体的に動き、どう広げるのかを考えてもらいたい。何を考えているかわからない有象無象の集まりが、予測不能で権力側に一番怖い。それを全国に広げたい」と展望した。

 障害者施策については「いい点はよくわからない」とする一方、「パラリンピックのホスト国にもかかわらず、いまだに改善されてない点は多々ある」と述べ、一例として、低すぎる障害者雇用率を挙げた。現在、民間では45.5人に1人の雇用が義務付けられているが、欧州では20人に1人だという。

 法定雇用率を満たせない場合、納付金を国に納めければならない。より多く雇用した場合は事業主に調整金を支給されるが、この原資は国家予算ではなく、未達成者から徴集したお金である。「皆が達成する状況になれば、調整金は出せなくなる。財源は国が予算として担保する必要がある」と主張した。

 女性が7日の岐阜・草津駅前のゲリラ会見で中学生が「法人税を何で上げないのか」と質問したことを引き合いに、「刷り込みを説くのに、一番効果的な方法は何か」と尋ねた。男子生徒は、塾の先生から、消費税引き上げのからくりを聞いていた。

 山本氏は「何が響くかは、人によってばらばら。消費者なら、『1カ月分の給料が戻るのと同じ』とか、個人事業主なら『廃止したい』といえば、それだけでバチッと賛同される。一方、『無理だろ』と退ける人には、廃止した国(マレーシア)が実際に存在することを伝える」ことを提案した。

 男性が、投票率を上げるため、罰金などペナルティーを設けるべきではないかとして、見解を求めた。山本氏は、2019年の参院選でも51.2%の人が票を捨てていることを問題視する一方、「ペナルティーは非常に危険。政治をわかってないのに書くときは、記憶に残るものを書く。一番の刷り込みはテレビ。一番露出が高い政治家は、総理や所属政党が与党、自民党の議員になる」と反論。

 生活保護申請者が社会保障費を削減する政治家の名前を書いている現実を申請窓口で働く人から聞いたことを挙げ、「選挙に行こうというのは、はっきり言ってNG。情報提供がともなわなければ危険だ」として、1人ひとりが情報提供者になるよう呼び掛けた。

 別の男性が、「れいわは票を捨てた人や個人事業主に響く政策が多いが、大企業や、今不自由していない人たちにメリットはないのか」とただした。山本氏はれいわの政策財源が税と新規国債の2つからなることを挙げ、「税だけならある所から取れとなるが、新規国債発行なら富裕層、大企業経営者にもプラス」と説明した。

積極的に挙手をする参加者(2020.2.9筆者撮影)

 「GDPの6割を占める個人消費のエンジンを最大限に回転させながら、国内でしっかり商売できる状況にしていくわけだから、企業側にもプラス。理解される経営者はいらっしゃるのでは」と企業側・富裕層に秋波を送った。

 B.Iについて見解を求められた。山本氏はB.Iの提唱が「大きな政府」を望む社会義者と「小さな政府」を望む新自由主義者の双方から出されているとして、後者を「危険」と退けた。「いろいろな社会保障サービスを切っていくことで、それを財源に給付金をみんなに与えていく。給付だけで暮らせない人がいっぱい出てくる。障害者や難病患者は死ねということか。非常にまずい」と警戒する。

 一方、「B.I的政策を私たちは考えている部分もある」と切り出し、期限付き地域商品券の発行を提案した。「イ○ンでは使えないとか。まだ深めていないが、郊外型大型店舗にどんどん取られ、地元の商店がバタバタつぶれることに対して、何をしたらいいかと考えたとき、この給付金という考え方はあり得る」と補足した。

 最後に、各種政策を実行するための財源を説明した。10年物国債の金利が−0.04%の我が国では、新規国債発行を断念する理由はなく、財務省もそのように説明していることを紹介。消費税を廃止してもインフレ率は1.2%しか上がらない試算を示し、政府目標の2%にも届かないことを強調した。

 岐阜市内に住む62歳の女性は、参加した動機について「山本さんはいつも福祉のことを一生懸命考えているから。木村(英子)さんも当選させた」と語った。障害を持つ子どもがいると明かし、「福祉、福祉と言って消費税が上がるが、現実の障害者は劣悪な環境で働いている。利用者はさらに優遇されない。何のための福祉消費税か」と訴えていた。

 新規国債発行については、「理想論。あくまで理論で、実際にうまくいくのか。五分五分」といぶかしんでいた。

<プロフィール>
高橋 清隆(たかはし・きよたか)  

 1964年新潟県生まれ。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)、『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)、『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)、『山本太郎がほえる〜野良犬の闘いが始まった』(Amazonオンデマンド)。ブログ『高橋清隆の文書館』

 

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