2024年11月24日( 日 )

インターネット時代における言論人の使命・責任とは何か!(4)

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 2月3日(月)から5日(水)まで「ワールド サミット 2020」(国連UPF主催)が、韓国・京畿道高陽市にある国際展示場「KINTEX」で開催された。

 中国・武漢で発生した新型コロナウイルス騒動のなか、世界から前職・現職首脳約150人、国会議員や宗教指導者、メディア関係者、ノーベル賞受賞者、地元韓国からは潘基文・前国連事務総長など120カ国から約6,000人が集合した。

 また、それに先駆けて2日(日)にソウル・明洞のロッテホテルで行われた世界言論人会議「2020 ワールド ピース メディア カンファレンス」(韓国「セゲイルボ」、米国「ワシントン・タイムズ」、日本「世界日報」の共催)には世界100カ国から約500人のメディア関係者、学者、財界人などが集合した。

 ここでは、世界言論人会議の模様、ジム・ロジャーズ氏、ニール・ブッシュ氏も参加した経済に関する分科会「国際平和経済開発協会」(IAED)の模様を中心にお届けする。

「国際平和言論人協会」(IMAP)が目指すべきは何か

潘 基文 前国連事務総長
潘 基文 前国連事務総長

 コーヒーブレイクを挟んでセッション3に移った。セッション3のテーマは「国際平和言論人協会の出帆」である。

 座長はAaron Manaigo ポトマック国際パートナー・専任パートナーで、パネリストはマイケル・ブリーン(イギリスのジャーナリスト・コンサルタント)、ビル・ゲルツ(ワシントン・タイムズ記者・作家)、ジーン・ビクター・コール(国連総会のスポークスマン)、Ralph Afolabi Akinfeleye(ナイジェリアのラゴス大学教授)、トーマス・シェルレン(Executive Magazine編集者)、カーティス・ファロー(米国アービング・ストリート代表)の6人が登壇した。

 このセッションでは主に、アジアやアフリカなどの地域的問題および新しく創設される「国際平和言論人協会」(IMAP)について議論された。

 マイケル・ブリーン氏は、IMAPはメディア縦横断する会員制で、参加者は経営・事業分野より、記者・編集人に焦点を当てた方が良いのではないかと提案した。そして、IMAPの役割はメディアを良くしようというより「世界を良くしょう」という方向に向かっていくべきであると語った。

 ジーン・ビクター・コール氏は国連での経験を踏まえ、インターネットはグーテンベルグの「印刷」の発明と並んで世界に大きな革命をもたらしたと述べた。そして、世界には新聞社がなくなった地域もあると続けた。

その他のパネリストも一様に、デジタル時代にジャーナリストは新しいパラダイムを理解し、新しい価値観と向き合い、平和実現のために尽力していくべきであると語っていた。セッション3終了後、参加者は下記のような原則と目標を支持することを誓って散会した。

【国際言論人協会】(IMAP=InternationalMediaAssociationforPeace)出帆決議文

1.自治的で社会の責任と道徳的義務を果たすメディアを促進する。

2.徹底した正確性、信頼できる出所の明確性、反対観点の受容を通して公平さを保障することでジャーナリズムの信頼性を回復する。

3.ニュース報道や記事作成において、個人的な偏見を排除し、ジャーナリストとしての品位を低下させるコンテンツは止揚させ、読者の尊厳性を守ることに尽力する。

コラム《日韓関係と韓半島統一のキーワードは「理念」と「民族」》

 メディア会議の行われた2日の晩、日本から訪韓したメディアグループは韓国右派の論客である趙甲済氏と会食の機会をもった。(ロッテホテル本館38階「無窮花」にて)現在の日韓情勢・南北情勢を理解するうえで読者の参考になるのでその話のエッセンスを付記する。

 趙甲済氏は記者生活50年(元『月刊朝鮮』編集長・社長)のジャーナリストで政治評論家、作家、歴史家である。現在は36万のフォロワーを持つ韓国保守のYouTuberでもある。趙氏は開口一番、「韓国に住んでいないとわからない、日韓問題、南北問題などについてお話ししたい」と言い、次のよう話し始めた。

 日本人が韓国情勢を判断する時、軽視してしまいがちなのは「理念」という概念です。理念とはわかり易く言いますと、共産主義と自由民主主義との闘いのことを言います。文在寅政権の反日、反米、親中、親北の政策の99%はこの理念からきています。

 韓国では、文在寅政権をチュサパ、主体思想派政権と呼ぶ人が多いです。チュサパは主体思想派を短縮した言葉で、別の言葉でいえば金日成思想のことを言います。文在寅大統領自身はチュサパの出身ではありません。しかし、チュサパ出身の参謀を側近として迎えており、大きな影響を受けています。金日成派が政権を握っていると理解していただいていいと思います。憲法と法律を破壊し自由民主主義と市場経済を崩壊させることになります。私は現政権を「法治破壊政権」と呼んでいます。チュサパ(主体思想派)政権はもう1つ別の言い方をすれば、階級闘争の政権といえます。階級闘争の政権では、国民を支配層と非支配層に分けます。そして、法律は支配層の弾圧のための手段となります。

 今韓国では尹錫悦 検事総長という人物が注目を集めています。尹氏は朴槿恵・前大統領を捜査して多くの関係者を監獄に送りました。その功績で検事総長になった人物です。本来なら、私を含めて韓国の右派が最も嫌う人物ですが、今韓国の右派が最も好きな人物になっています。それは、検事総長に就任するや否やチョ・グク法務大臣の家族疑惑を率先して暴き、南東部・蔚山市の市長選への青瓦台(大統領府)介入疑惑にもメスを入れたからです。そのため、今、文在寅大統領と尹錫悦・検事総長は対立の関係にあり、尹検事総長は大統領候補の1人にもなっています。

 韓国における共産主義と自由民主主義の闘いでもう1つ重要なことがあります。それは「民族」という概念です。韓国で今一番強い言葉は民族という言葉です。そのため、民族という言葉を悪用して、金正恩の核開発や人権蹂躙を擁護する(同じ民族だから)こともあります。金日成、金正恩が民族主義者であり、李承晩、朴正煕が民族反逆者であるという位置づけをしています。韓国で世論調査をして、金正恩の好感度が30%になったこともあります。その時の日本の安倍首相の好感度は5%です。

 ここで、韓半島情勢で金正恩が有利、不利の両面についてお話します。先ずは有利な面です。北朝鮮の核ミサイル体制はすでに完成しました。韓国には親北政権を樹立させました。背後には中国もいます、それに対抗する、韓国の自由民主主義勢力は権力をもっていません。一番強い立場にある軍隊も中立を守っています。

 次は金正恩が不利な面です。北朝鮮に対する国際社会の経済制裁が続き秘密資金が減っています。金正恩が描く経済発展を通して体制を強くするという戦略がうまくいかなくなり始めました。韓国では文在寅政権の親北政策に反対す運動が始まりました。

 4月にある総選挙がどのような結果になるのかが今注目されています。文在寅政権は与党が過半数をとれば、「韓半島統一」を可能にする憲法改正に向かうと思います。日韓関係で一番深刻な問題は現政権がGSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)の破棄宣言など日米韓の関係を弱めようとしていることです。私は韓国の70年間の発展は日米韓の相互協力と李承晩、朴正煕のリーダーシップのおかげであると思っています。

(つづく)
【金木 亮憲】

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