2024年12月22日( 日 )

メディカル&ビジネスインテリジェンスの提供がBISの使命!(後)

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 2月17日(月)の午後5時30分~9時00分まで、東京・新宿「安代ホール」7階において、第169回「ビジネスインテリジェンス情報研究会」(BIS)が開催され、日中の医師・医療関係者10数人とメディア関係者を含む、満席100名を超える有識者が集合した。BISではビジネスインテリジェンス情報と並行して、約20年前から国際的な健康医療情報(メディカルインテリジェンス)の共同研究を続けている。

米国は世界最大の産油国になりエネルギー自立に大きく前進した

 米国産のシェール革命の結果、米国は世界最大の産油国になり、歴代の大統領が追求してきた念願の「Energy Independence(エネルギー自立)」の実現に向けて大きく前進しました。21世紀になって、OPEC優位の時代は去り(OPEC加盟国はかつて世界の石油の半分を生産、今では3分の1以下に低下)、米国産が国際市場を左右する時代になっています。米国は中東原油に多くを依存しなくなり、このことがゲームを変えました。

英ロイズの調査で米イラン戦争勃発の確率は25%➡35%に高まる

 ソレイマニ司令官殺害の怒りはイラン支援のシリア、レバノン、イエメンやイラクで高まっています。では、米イラン戦争の最悪のシナリオは避けられるのでしょうか。そのことについて、英ロイズ再保険組合とリスクコンサルタント会社(IHS MARKIT)は今後12カ月間、米イラン戦争勃発の確率は25%から35%(極めて危険なレベル)に高まったと発表しています。(『新・ジオポリ』2020年1月号)

紛争をどんなに繰り返しても平和はやってこないことを学んだ

浜地 道雄 氏
浜地 道雄 氏

 続いて浜地道雄氏が登壇した。浜地氏は元ニチメン(現・双日)でイラン・テヘランに駐在、第4次中東戦争も経験した。その後、帝国データバンクのアメリカ支社代表、翻訳会社、日米通信会社の顧問などを歴任。現在は世界最大規模の国際教育事業者でノーベル博物館のスポンサーでもあるEF(Education First)など数社の顧問を務める傍ら、「憲法九条をノーベル平和賞に!」の裏方として活動している。

 それは「紛争・テロは武力では解決できない問題だ」「武力でいけば永遠に喧嘩し続けることになる」「紛争をどんなに繰り返しても平和はやってこない」ということを中東での駐在経験から学んだからという。

安倍首相が唱える「地球儀を俯瞰する外交」に、疑問を呈した

 浜地氏の話は米ニューヨーク・マンハッタンにあるお気に入りのトルコ料理店「ダルビッシュ」と日本ハムから渡米、現シカゴ・カブスの大リーガーである「ダルビッシュ・有」投手の話から始まった。

 ダルビッシュ投手はイラン人の父と日本人の母から生まれました。米国では「ダルビッシュ」を日本人であると思っている人はほとんどいません。ダルビッシュとはイスラムシーア派の1つの流れで、中近東、ことにイラン、トルコにおける世俗を捨てたイスラム教徒のことを言います。イスラム教のカリフ(最高権威者)は 「アリー・イブン・アビー=ターリブ」というので、有(アリー)はカリフにちなんで付けられた名前といえるでしょう。

 ところで、安倍首相もトランプ大統領も本当のところ、異文化を理解できていないのではないでしょうか。ここで、浜地氏は具体例(下記)を挙げて、米国・トランプ大統領に盲従する、安倍首相が唱える「地球儀を俯瞰数する外交」に疑問を呈した。

 トランプ大統領をメッセージ交換するに値する人間とは考えない

 2019年6月、安倍首相はイランを訪問して、12日にロウハニ大統領、13日には最高指導者であるハメネイ師と会談、米国トランプ大統領の和解のメッセージを伝えました。当時の日本の外務省の発表、マスコミ報道では「うまくいった」というものでした。しかし、事実は大きく異なり「失敗した」のです。

 当時、ハメネイ師は「日本が誠実で善意に基づいていることは疑いないが、米国・トランプ大統領がメッセージを交換するに値する人間とは考えていない」(イランのメディア『ファルス通信』)と回答していたのです。

 汝らに戦いを挑むものがあれば、アッラーの道において(「聖戦」すなわち宗教のための戦いの道において)堂々とこれを迎え撃つがよい。だが、こちらから不義を仕掛けてはならぬぞ。アッラーは不義をなすものをお好きにならぬ。~騒擾がすっかりなくなる時まで、宗教がまったくアッラーの(宗教)ただ一条になる時まで、彼らを相手に戦い抜け。しかし、向こうが止めたら(汝らも)害意を捨てねばばらぬぞ。悪心抜きがたき者だけは別にして。(『コーラン 上』井筒俊彦訳 岩波文庫から抜粋)

 渋谷裕講師と浜地道雄講師の話を受けて、商社・ニチメン(現・双日)時代に同じく中東のイラクに駐在経験のある中川十郎会長が簡単なコメントを述べ、当日のプログラムはすべて終了した。

(了)
【金木 亮憲】

(中)

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