作業服のカジュアル化が大ヒット~成長加速へ繰り出す次の一手(前)
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(株)ワークマン
「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」の成功で業績拡大が続く作業服専門店チェーン、(株)ワークマン。既存の「WORKMAN(ワークマン)」がプロの職人を主な顧客とするのに対して、カジュアル化を打ち出したワークマンプラスは一般消費者を取り込み、売上を押し上げている。2020年3月期業績は売上、利益とも当初予想から大きく上振れする見通しだ。好業績は当面続きそうだが、ライバルからの挑戦も受ける。ワークマンプラス化を加速する同社の次の一手は何か。
ワークマンプラス、2018年9月に1号店
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や各種メディアで取り上げられ、一般消費者の認知度が一気に高まったワークマン。きっかけは「ワークマンプラス」の出店だ。
ワークマンは、作業服専門店「ワークマン」を展開し、建設作業員などプロの職人を対象に作業服や作業用品を販売してきた。そのため、一般消費者にとってはほとんど馴染みのない存在だった。ワークマンプラスは、既存のワークマンよりもカジュアルテイストのPB(プライベートブランド)商品を強く打ち出した新型店。これが、もともとプロ向け作業衣料を販売していた企業が手がけたという目新しさから、メディアがこぞって取り上げ、SNSでも拡散し、人気に火が付いた。
新型店1号店は2018年9月、ショッピングセンター(SC)にテナント出店した「ワークマンプラスららぽーと立川立飛店」(東京都立川市)。既存のワークマンと何が違うかというと、ディスプレイや売り場配置など店内の演出や見せ方を変えただけで、扱っている商品そのものは同じだ。
1号店の販売は好調に推移。その後出店したワークマンプラスも好調で、既存のワークマンへの波及効果もあり業績への効果がはっきりと表れる。2019年3月期は小売業の利益を左右する既存店売上高は実に14%増。チェーン全店売上高が930億円で、前の期に比べて16.7%伸びた。売上高に相当する営業総収入は669億円(19.4%増)、本業の儲けを表す営業利益は135億円で27.6%も伸ばした。
既存店が大きく伸びて、売上、利益の拡大が続く
好調はその後も続く。2020年3月期第2四半期業績は、既存店売上高が27.8%も伸びて、チェーン全店売上高は32.2%増、営業総収入は45.2%増、営業利益は55.1%増と期初計画から大きく上振れした。
足元をみても、既存店売上高は10月23.8%増、11月24.1%増、12月28.7%増と好調を持続。2020年3月期第3四半期は、チェーン全店売上高965億円(32.1%増)、営業総収入715億円(41.4%増)、営業利益162億円(48.7%増)と大幅な増収増益を達成した。
2月4日には期初の業績予想を上方修正。チェーン全店売上高は予想を165億円上回る1,200億円、営業総収入は171億円上回る905億円、営業利益は38億円上回る189億円となる見通し。勢いが加速している格好だ。
ワークマンプラスの新規出店、既存ワークマンからワークマンプラスへの転換を加速したこと、既存ワークマンへの波及効果もあり主要PBブランドの販売好調が続いていることなどが要因だ。各種メディアやインフルエンサーの活用も奏功し、さらにブランド認知が高まり、客層が拡大したことで既存店好調が続いた。
株価は1年前の2倍超に上昇した。ワークマンの営業利益率は20.2%(2019年3月期)。もともと小売業界でも高収益企業として知られていたが、作業衣料というニッチなマーケットを対象としていたため注目度は決して高くなかった。それがワークマンプラスの成功によって業績を拡大したことで、株式市場での評価もうなぎ上りだ。
(つづく)
【本城 優作】
<COMPANY INFORMATION>
代表者:小濱 英之
所在地:東京都台東区東上野4-8-1
設 立:1982年8月
資本金:16億2,271万8,300円(19/3)
売上高:930億3,900万円(チェーン全店/19/3)関連キーワード
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