2024年09月18日( 水 )

「養育費の不払いは許さない!」4月1日より改正民事執行法施行

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 4月1日から改正民事執行法が施行された。
 新法では、申立権者の範囲を拡大して、仮執行宣言付判決を得た者や、公正証書により金銭(たとえば養育費など)の支払を取り決めた者なども利用可能となった。

 手続き上の主な改正点は2つ。

 1つ目は、債務者に自己の財産を開示させる手続(財産開示手続)。
債務者を裁判所に呼んで、財産に関する情報を債務者自身に陳述させる手続きで、これまでは債務者が出頭しなかった場合や虚偽の陳述をした場合などに対する制裁が弱かった。
新法では、不出頭などには刑事罰(6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金)による制裁を科して、手続の実効性を向上させている。

 2つ目は、第三者から債務者の財産に関する情報を取得する手続を新設。
申立権者は、債務者の財産に関する情報のうち、(1)預貯金等については銀行などに対し、(2)不動産については登記所に対し、(3)勤務先については市町村などに対し、強制執行の申立てに必要な情報の提供を命じてもらうことができるようになった。
ただし、債務者の不動産と勤務先に関する情報取得手続については、事前に財産開示手続を実施する必要がある。さらに、勤務先に関する情報取得手続の申立てをすることができるのは、「養育費等の支払」や「生命又は身体の侵害による損害賠償金の支払」を内容とする債務名義を有している債権者に限られる。

 たとえば、離婚して母子家庭になった場合、取り決めた養育費の支払いをしない元ダンナの財産について差押えをすることが容易になったのだ。
 養育費支払いを公正証書や調停などで決めている場合、裁判所に申立て、元ダンナの取引銀行がわかっていれば、銀行に情報提供を求めて預金差押えをすることが可能となった。
この預金に対する情報取得手続は、財産開示手続を経ずともできる。
 さらに、財産開示手続で裁判所に呼び出しても来ない元ダンナには刑事罰が科せられるようになり、勤務先がわかれば、勤務先に情報提供を求めて給与差押えもできるようになったのだ。

 日本の離婚件数は年間21万組(2019年・厚生労働省推計)。
 民事執行法の改正が、近年、働き方改革の課題となっているシングルマザーの貧困問題を解決する一助となるかもしれない。

 債務者の財産開示手続・第三者からの情報取得手続などに関して、手続に必要な弁護士費用がないときには法テラスの民事法律扶助を利用することができる場合もある。

■日本司法支援センター(法テラス)
URL:https://www.houterasu.or.jp/
法テラス・サポートダイヤル 0570-078374(おなやみなし)
(平日:午前9時~午後9時、土曜日:午前9時~午後5時 祝日・年末年始を除く)
(※ IP 電話からは03-6745-5600)

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