不法投棄の産廃業界を変える! 建設産廃で減量化・リサイクル化率98%(3)
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再開発や建替え工事が進む都心では、つくられると同時に現場で多くの産業廃棄物が発生している。私たちは「ゴミを捨てる」ことはあっても、捨てたゴミがどこに行くのかを見ることはほとんどない。しかし、捨てたゴミは消えず、必ず「処分」が必要になる。ゴミ問題を解決すると考えられている「リサイクル」が、なかなか広がらないのはなぜなのか。建設廃棄物の行方を、産業廃棄物中間処理業の石坂産業(株)専務取締役・石坂知子氏に聞いた。
産業廃棄物の地下水汚染問題
SDGs(持続可能な開発目標)では安全できれいな水が大切だといわれているが、廃棄物による地下水の汚染も深刻化している。建物を解体した後に、大きな廃棄物は回収されるが、土に混ざった残渣は上から新しい土をかぶせて整地され、そのまま土地に残されることがあるといわれている。そのため、土地が売買された後に、数年後や数十年後に土地を造成するために知らずに土地を掘ると、土のなかに残っていた廃棄物が出てくることがあるという。
埋め立てても有害物質が少ないと考えられている廃プラスチックなどの産業廃棄物は、穴を掘ってそのまま安定型最終処分場に埋め立てられる。しかし建物を解体したときに出る木くずや紙くずは、防腐剤などの薬剤が含まれる。そのため埋め立てる場所にビニールシートを貼り、廃棄物から浸出した重金属などの地下水の汚染を防ぐ管理型最終処分場に埋め立てられている。建物の解体時の木くずや紙くずを土に残しておくと、地下水などに有害な薬剤が流出するため、今後の法整備が必要だと考えられている。
不法投棄が起こる理由
一時期よりは減少したといわれているが、不法投棄はなぜ起こるのだろうか。建物解体時の建設廃棄物の処理は、多重下請構造だ。過当競争で適正価格にならずダンピングが多いため、廃棄物処理に必要な費用が残らないことが不法投棄の原因だといわれている。
「石坂産業では、処分に必要な費用を含めて処理費用を見積もりしている。適正価格の取引のみ、廃棄物処理を引き受けるようにしている。処理に必要なコストを出せるかを見極めて、ダンピングや、他社と比較して費用を値下げすることはない。適正価格にすることが、適正利益につながるからだ。企業活動に必要な利益を確保することで研究開発や社員教育などの人材への投資、工場の設備投資が可能になる。投資の循環をスムーズに回すことが大切だ。採算を無視した低い価格にすると未来への投資ができず、事業の先行きを大きく左右する」と石坂専務は話す。
三芳町にある処理工場を公開し、一般見学できるようにしたことで、地域からの見方も変わった。里山を再現した、東京ドーム約4個分の広さがある「三富今昔村」の森を地元に開放したことも、石坂産業から地域への橋渡しになり、口コミで評判が広がった。産業廃棄物は、どうしても負の面が人の目に触れやすい。だが、来場者が良い評判を広げてくれたことで、企業姿勢を理解して取り組みに共感する顧客が増えた。「地域を守ろうという姿勢があるから、他社より処理価格が高くても依頼したい」という顧客の声もあり、石坂産業の適正価格での取引を可能にしているという。
(つづく)
【石井 ゆかり】
<COMPANY INFORMATION>
所在地:埼玉県入間郡三芳町上富1589-2
代 表:石坂典子
設 立:1971年
資本金:5,000万円
売 上:(19/8)57億9,400万円関連記事
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