2024年11月22日( 金 )

不法投棄の産廃業界を変える! 建設産廃で減量化・リサイクル化率98%(5)

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 再開発や建替え工事が進む都心では、つくられると同時に現場で多くの産業廃棄物が発生している。私たちは「ゴミを捨てる」ことはあっても、捨てたゴミがどこに行くのかを見ることはほとんどない。しかし、捨てたゴミは消えず、必ず「処分」が必要になる。ゴミ問題を解決すると考えられている「リサイクル」が、なかなか広がらないのはなぜなのか。建設廃棄物の行方を、産業廃棄物中間処理業の石坂産業(株)専務取締役・石坂知子氏に聞いた。

購買者が何を選ぶかが将来の社会を決める

 他企業と連携したオープンイノベーションで、将来的にはAI(人工知能)やIoT(モノをITでつなげる仕組み)を活用した最先端工場を目指し、着々と準備を進めている。たとえば、工場内で廃棄物を運搬するショベルカーなどの建設機械は遠隔操作を可能にし、ロボットが選別して人がモニターで操作するなど、廃棄物処理そのものは人の手を使わないことを目指す。自社で機械の保全・メンテナンスをしているが、機械の整備など人の手でなければできない技術を磨いていく。
 技術に特化した部署も設けて、機械や処理工程を改善していく方針だ。海外への技術移転も視野に入れている。安全上の課題もあるが、廃棄物や処理工程によって、機械と人の両方の基準を使い分けて判断できるようにする。

 「廃棄物中間処理業で燃料をつくるノウハウを水平展開させ、エネルギーをつくり出す分野への進出や、環境に配慮した最終処分場の埋め立て施設の建設を考えている」と石坂専務はいう。以前は燃やして小さくするために産業廃棄物を焼却していたが、今は「いかに廃棄物から熱を取り出し、発電効率を上げるか」というエネルギー回収が注目されている。

木材リサイクルプラント

 たとえば、工場で発生する振動からエネルギーを取り出して発電する技術を共同研究している。集塵機の排気口にプロペラを設置し、排風を利用した発電の研究にも取り組む。ゴミとして見放すのではなく、素材をいかに生かして先につなげるかを見つめるのが石坂産業だ。  また、夏の暑さで熱がこもりやすい工場の屋根には、白色の遮熱塗料を塗っている。外気温が37℃近くになる夏場に、工場の屋根が70℃近い高温になることを防ぐ。屋内に熱がこもりにくくすることで、働く環境も良くしている。

 「リデュース(ゴミの減少)」「リユース(再利用)」「リサイクル(再資源化)」の3Rのうち、中間処理業として携わるのは再資源化だ。だが再資源化をいくら進めても、ゴミの減量や再利用は現場の問題になる。ゴミを減らして再利用することで、リサイクルが必要なゴミの量も減少する。

 「自分たちが購買する立場で何を選ぶかが、将来の社会を決めている。環境に良くて長く使える商品を選ぶことが、子どもたちが生きる未来に良い社会を残せるのではないだろうか」と石坂専務は話す。産業を観光化して、リサイクル工場見学と森の自然に触れ合える体験の場となる三富今昔村をつくったのも、現状に目を留めてほしいからだという。

 ゴミの行く先から振り返って、うしろに広がる世界を見ると、気づくことがあるのではないだろうか。

(了)

【石井 ゆかり】

<COMPANY INFORMATION>
所在地:埼玉県入間郡三芳町上富1589-2
代 表:石坂典子
設 立:1971年
資本金:5,000万円
売 上:(19/8)57億9,400万円

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