不法投棄の産廃業界を変える! 建設産廃で減量化・リサイクル化率98%(4)
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再開発や建替え工事が進む都心では、つくられると同時に現場で多くの産業廃棄物が発生している。私たちは「ゴミを捨てる」ことはあっても、捨てたゴミがどこに行くのかを見ることはほとんどない。しかし、捨てたゴミは消えず、必ず「処分」が必要になる。ゴミ問題を解決すると考えられている「リサイクル」が、なかなか広がらないのはなぜなのか。建設廃棄物の行方を、産業廃棄物中間処理業の石坂産業(株)専務取締役・石坂知子氏に聞いた。
機械を使いこなす人の力を磨く
今はダンプカーの荷台をスケールで測り処分費用を査定しているが、将来は自動化して画面上から遠隔で見積もりできるようにしたいと石坂専務は考えている。一方で、機械化を進めると同時に人の力も欠かせない。廃棄物を搬入すると、まず工場ラインで大きい廃棄物を人の手で粗選別する。粗選別が正確にできていると、複合分別機に入れた後も、素材や粒子のサイズごとにスムーズに細かく選別ができるからだ。リチウム電池など、混ざってはいけないものが工場ラインに入らないように見分けるのは人の目だ。
「1億円の高性能の機械を導入しても、人が機械を使いこなさなければ、機械は100%の力を発揮できない。60%の力しか発揮できないならば、6,000万円の機械を使うのと結果は同じになる」(石坂専務)。
17年前に、国際規格ISOを取得したが、これは社員教育の「見える化」が目的だった。第三者から評価を受けることで、1人ひとりの仕事の質、さらには会社の質も上げていくことを目指している。「今までのやり方を変えて新しいことを始めると、賛否両論がある。今まではっきりとした基準がなかったところを管理するようになったため、ISOを導入して半年間で約4割の社員が退職した。しかし社員構成が変わり、結果としては会社の風通しが良くなった」(石坂専務)。人材育成では、「コミュニケーションを取れなければよい仕事はできないと考え、挨拶を徹底した。縦割りだけでなく、横軸の連携を取って人間力を高めることが大切だ。自分の仕事のことはわかっていても、全体を見渡す目をもたなければ組織はうまく回らないと考え、社内で情報共有は徹底している」と石坂専務は話す。
石坂産業では、50年先まで経営者の夢を共有している。「経営者が考えていることを可視化し、たとえば30年後に今の仕事がなくなっていても、どのようなキャリアを積んでいけば新しい仕事をつくっていけるかを考えてほしいと感じている。人の新たな強みを引き出すことは経営者の仕事だ。さらに、売上や目標、決算情報も、2~3年前から全社で公開している。社内のことだけでなく、業界内での自社の立ち位置や社外からどう見られているかに気づいて世界を広げ、会社を見る目を深めてほしい」(石坂専務)。主体的に考えることを大切にしており、何事も自分のこととして捉え、新入社員教育でも自分の言葉で伝えられるようになってほしいという。人材研修や教育には、今期約4,500万円の予算を見込んでいる。
(つづく)
【石井 ゆかり】
<COMPANY INFORMATION>
所在地:埼玉県入間郡三芳町上富1589-2
代 表:石坂典子
設 立:1971年
資本金:5,000万円
売 上:(19/8)57億9,400万円関連記事
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