2024年09月17日( 火 )

中国最大の見本市「広州交易会」がオンライン開催に~今後の見本市の新たなモデルとなるか

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
広州交易会 会場内の様子

 中国商務部は16日、4月に予定していた第127回広州交易会(正式名称:中国輸出入商品交易会。商務部、広東省政府主催)を6月15~24日にすべてオンラインで開催することを発表した。同交易会は1957年春に第1回を開催し、毎年4月、10月に開催している中国最大規模の国際見本市である。2019年の展示面積は118万5,000m2、出展社数は2万5,642社、来場バイヤー数は18万6,015人(210カ国)であった。

 メッセンジャーアプリWeChatなどを提供するテンセント(騰訊)が同交易会の技術サービス企業として、総合的な技術支援、プラットフォームの研究開発サービス、クラウドリソースのサポートを提供する。テンセントはWeChat、テンセントクラウド、Voov meeting(騰訊会議)、WeChat Work(企業向けサービス)、翻訳君(オンライン翻訳サービス)などのサービスを提供している。

 中国でビジネスマッチングといえば、B2B(アリババ)、B2C(Tモール)で強みを持つアリババの名前がまず挙がるが、今回はテンセントが技術サービス企業として選ばれた。中国メディアはその背景について、テンセントが地元広東省の企業であり(アリババは浙江省)、必要とされているのはEコマースのプラットフォーム企業ではなく、より良い技術のプラットフォームであって、テンセントがより多くの安定したソフト、アプリを有しており、また、ソーシャルネットワーキング分野における技術サービスが優れているためとしている。

 会期中、各出展企業にはライブ中継のチャネルが割り当てられ、常時リアルタイムでのバイヤーとの商談、多数に向けてのプロモーションが可能となる。オンラインのビジネスマッチングにおいて、物理的なスペースの制限がなくなり、より多くの商品を売り込むことができる。企業には商品の3Dモデリング、精度の高い画像の用意が求められることになる。

 中国メディアによると、中国においても、オフラインのビジネスマッチングの需要は大きく、多くの中国企業が欧米などの展示会に出展しており、国内でも大規模な展示施設の建設が行われているという。このように現在において、オンラインの展示がオフラインの展示の価値にとって変わることはない。広州交易会も、オンラインとオフラインの融合、具体的にはオフラインでの企業と商品の紹介、オンラインでの顧客開拓とを合わせて企業が市場を開拓することを新たなモデルとして想定しており、クラウド・コンピューティング、ビッグデータ解析、IoTなどの実践を通して、貿易のよりよい発展を目指しているようだ。

【茅野 雅弘】

関連記事