韓国の新型コロナウイルス対応を世界が絶賛(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
新型コロナウイルス感染拡大は、いまだ世界中で進行中である。5月3日現在の全世界の新型コロナによる死亡者数は239,609名で、患者数は3,364,810名に上っている。そのうち、韓国の死亡者数は250名(2名が増加)で、患者数は前日より6名増え10,780名となっている。
韓国で新型コロナの患者が初めて発生したのは、1月末のこと。ところが、最初の発生から1カ月後の2月末から3月初旬にかけて患者数は急激に増え続けた。2月29日には1日で909名の新型コロナの患者が発生し、韓国政府の保健当局に激震が走った。しかし、韓国政府の積極的な対応により、その後、患者の伸びは1週間後にはその半分となり、またその数日後には、その半分となり、今現在は外国からの帰国者を除けば、韓国での患者の発生は毎日数名程度に抑えられている状況である。
このような結果を受けて、世界保健機関(WHO)で新型コロナ対応の陣頭指揮を執っているマイケル・ライアンエグゼクティブディレクターは“韓国の新型コロナの総合的な対応策は、お手本のような優れた事例である”と評価した。ニューヨークタイムズなどの外信でも、韓国の対応について分析記事を掲載し、どのようにすれば韓国の対応策から教訓を学ぶことができるかを模索している。
韓国の対応策だけでなく、韓国の診断キットやマスクなどにも注目が集まり、輸入をしたいという問い合わせや緊急支援の要請が、今や約100カ国からきている。また、ビル・ゲイツ氏は韓国の製薬会社に、ワクチンの開発を提案し、そのプロジェクトに投資も約束している。
今回、韓国ではほかの国で起こっているような日常生活品の「買いだめ現象」も一切起こらなかった。新型コロナの感染拡大で非対面のオンラインショッピングが脚光を浴びているなか、韓国のラーメン、お米などの注文が東南アジアの国々から相次いでいるようだ。新型コロナへの対応で韓国は全世界から注目されることになり、新型コロナが終息すれば、韓国の国家イメージは向上し、それによって、ビジネスチャンスが一気に上がることになるだろうと海外事情に詳しい人たちは口をそろえている。
今回は韓国政府の「うまい対応」の要因は何だったのかを取り上げてみよう。
実は今回、韓国政府が新型コロナに適切に対応できたのは、MERSの苦い教訓から学んでいたからだ。韓国はSARSやMERSを経験し、とくにMERSで数十名が命を落としたことにより、ウイルスがいかに怖い存在であるかを学習できた。それで、韓国の新型ウイルスの対応体制は、その時すでにできていたのだ。韓国国民も新型ウイルスの怖さを十分認識していたので、今回の政府の要請に進んで協力をした。
また、韓国はすぐれた医療保険制度のおかげで、世界で一番良い医療サービスが受けられるようになっている。国民医療保険制度が十分でないアメリカでは病気になると、莫大な医療費で破産に追い込まれるという。たとえば、韓国は大腸内視鏡の検査を受けるのに、1万2,000円ほどだが、アメリカでは同じ検査が40万円もするので、検査を受けようにも受けられない現実があるようだ。
(つづく)
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