2024年11月15日( 金 )

韓国の新型コロナウイルス対応を世界が絶賛(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 韓国では理系の優秀な人材は医者になるので、韓国の医師の質はとても高い。今回の新型コロナウイルスはRNAウイルスであるが、RNAウイルスマップを世界で初めて作成したのも、ソウル大学医科大学の金ビッナリ先生である。金ビッナリ氏は近年、ノーベル生理賞・医学賞の候補に何回もノミネートされた人物でもある。

 日本では韓国の診断キットの評価が低いようだが、韓国の診断キットは国際標準にもなっている。確かにPCR診断キットの精度は7割くらいであると知られている。

 いつも議論ばかりしている日本政府と、まず早期診断を目指した韓国政府とのスタンスの違いだけで結果はずいぶん違ってきている。「ドライブスルー検査」なども韓国医療陣の柔軟な発想から生まれたものである。

 次に大事なのは、韓国政府の迅速な措置と大量診断である。韓国政府では患者が発生してから1週間後に診断キット会社を訪問し、診断キットの早期開発を要請した。開発の要請とともに、KFDAの緊急承認も約束した。それによって、2週間後には毎日数千個の診断キットが出荷されるようになった。

 新型コロナの感染拡大を防ぐ最善の方法は、早期発見と、追加感染を最小化することと、患者ができるだけ早く治療を受けるようにすることだと韓国政府が判断したからだ。それによって、検査を受けたい人には、すぐ検査を受けられるように600カ所あまりの検査センターも設けた。日本はPCR検査の精度を疑ったり、医療崩壊が起こることを心配して積極的に検査をしていないが、今後それがどのような結果をもたらすかはわからない。

 国民が検査を受けたいときに受けることができて、費用負担もほとんどないことに韓国人は自負心を覚えている。

 3番目に、韓国政府が新型コロナの感染拡大を防ぐのに成功した要因に、韓国のIT技術の発達を上げることができる。韓国では子どもからお年寄りに至るまで、ほとんどスマホをもっている。今回、そのスマホとアプリをうまく活用することによって、韓国政府は患者を追跡・管理していた。患者の氏名、携帯電話の位置情報、クレジットカードの使用記録などを活用して、患者の行動を追跡し、管理し、新型コロナに感染された患者は行動が追跡されて、その患者と接触したことのある人に検査を受けさせたり、隔離させたりすることによって、感染拡大を防いだ。また患者は自分の症状を項目別にチェックして返送しないといけないし、隔離された人が、その場所から離れると、アラームがなって、元の場所に戻るように促される。患者以外も、その人が住んでいる地域に患者が発生すると、それを知らせるだけでなく、患者がどのようなところに行ったかも知らせてくれる。このように携帯電話のアプリを活用して、患者の行動を管理することで、韓国では都市を閉鎖するとか、行動を制限することなしに、感染拡大に成功している。韓国は新型コロナの感染拡大の抑制だけでなく、死亡率でも1%をちょっと上回る水準となり、世界で一番低い結果となっている。

(了)

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